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今、世界経済で本当に起きていること


リーマン破綻から10年で世界は変わったのか
2018年9月15日の東洋経済オンラインへのリンク画像です


今回のメインテーマは、今、世界経済が深刻な景気後退(不況)に入るのはもはや時間の問題であることです。


これまで危機の本質がどこにあるのかをコラムにしてきましたが、日本の新聞を全て読んだだけでは具体的にどのようなことが不況や危機の引き金になるのか理解しにくいところがあります。


そこで、2008年に起きたリーマンショック(世界金融危機)について振り返りながら、今後起こり得る世界経済危機の引き金になる可能性を探っていきたいと考えています。


まず、8月に中国政府はアメリカ製品に追加関税を課すと発表し、9月と12月に分けて発動する予定があります。それに対して、アメリカも中国への追加関税を10月から発動すると公表しています。このように、米中による関税の報復合戦は続いており、貿易戦争は一段と深刻化しつつあります。


そのような状況の中、世界各国の株式市場は株価が乱高下しており、米国債10年ものの利回りは急低下しています。そして、金(ゴールド)先物価格が年初来高値をつける一方、世界景気の減速不安から原油価格は急落しています。


このような不安定な状況にもかかわらず、トランプ政権は中国への圧力を弱める気配はなく、中国を「国家非常事態宣言の対象(経済制裁)」に指定する準備を行っています。これによって、中国企業や産業分野全体の活動を阻止できるほどの権限を得ることになります。


当然、中国もアメリカに対して報復制裁を発動することになるため、これまで以上に世界の2大経済大国がお互いの足を引っ張り合うような恐ろしい経済戦争にまで発展することが予想されます。


そして、これに最も深刻な余波を受けるのが、1990年代からインターネットを中心にしたIT産業の発展と同時に世界経済を拡大してきた製造・物流・販売網のサプライチェーンです。


天安門事件後、経済制裁が解除された1991年に深刻な景気後退に見舞われた中国のケ小平国家主席は、経済を立て直す戦略の一環として、賃金が安い国内労働力を外資系企業に開放しました。


一方、製造業の低迷に悩んでいたアメリカ企業は、インターネットを中心としたIT技術の発展により、海外に展開した生産拠点とアメリカ国内とのリアルタイムの通信が可能になったことで、中国に生産拠点を移転したわけです。


具体的には、製造部門を中国に置き、企画・開発と戦略的な販売部門はアメリカ国内で展開する戦略であったわけですが、それはアメリカと中国が政治的に共存することを前提としたものでした。つまり、米中の相互依存の構造を形成することで成り立っていたということです。


ところが、それから30年後の今になって米中対立が始まり、世界的なサプライチェーンのビジネスモデルが崩れ去ろうとしています。このままでは、アメリカ企業が中国国内に生産拠点を置くこと自体、経営上のリスクになる可能性が出てきつつあります。


結局、このリスクを回避するためには、生産拠点を中国からベトナムやミャンマーなどの労働コストが安い国に移転したり、主要な部品の供給先を中国から他国に変更するようなサプライチェーン・モデルの大幅な変更が必要になってきます。


中国からミャンマーに生産移転も、米中貿易戦争の余波(字幕)
2019年6月29日のロイターへのリンク画像です


日本のマスメディアの報道記事では、中国からの生産拠点の移転を歓迎している東南アジア諸国について触れられていますが、実際にはそれほどサプライチェーン・モデルの変更は簡単ではないことは明らかです。


なぜかと言えば、中国に建設した巨大工場をベトナムやミャンマーに移転するには、大規模な設備投資が必要となり、その建設のために数年を要するからです。その間、企業にとってはコスト負担となり、企業の利益を圧迫しながら業績をも悪化させていくわけです。


それに対して、世界最大の中国市場も大幅に消費率が落ちるため、世界中のグローバル企業たちの業績を悪化させることになります。日本やドイツをはじめ、中国に生産拠点を置いている全ての国の企業に悪影響が出てくるということです。

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