グローバル化の弊害を見落とし、トランプ台頭を招いた経済学者のいまさらの懺悔 Economists on the Run
(出典:2019年11月29日 Newsweek)
ノーベル賞の受賞者で経済学者のポール・クルーグマンは、昨年10月に「経済学者(私も含む)はグローバル化の何を見誤ったか」と題した論説を発表しています。
経済学者は「一連の流れの非常に重要な部分を見落としていた」と自己批判しています。英語の原文はForeign Policy誌のサイトにもありますが、そもそもなぜ資本主義が機能しなくなっているのでしょうか?
私は、経済学ではなく物理的にその答えがあると考えています。具体的には、科学技術の発展によって電力が安く使えるようになったことが原因であると思っています。つまり、世界中でエネルギーが誰でも簡単に利用できるようになったということです。
例えば、砂漠ではキロワット数当たりのコストがたったの2円まで下がっています。実は、電気はほぼ無料に近い形で使えるようになりつつあり、しかも単純労働では産業用ロボットが製品を組み立てるので、モノの価値が陳腐化して価格が無料に近づいているというわけです。
そのような状況の中、これまで銀行など金融機関から車や住宅ローンを使う際の金利によって縛りつけられてきた人の給与が徐々に減り始め、結局、ローンを支払えなくなるということが新たに出てきました。
住宅ローンを払えない人が急増している?払えない場合の4つの対処法
(出典:2019年10月22日 Money Times)
つまり、人類が農業を始めて以来、これまで生活が続いてきたことの意味が失われてきつつあるということです。
実際に、欧米諸国では移民が金利を払えなくなれば自国や第3国へ逃亡するケースが増えています。縛り付けられたらそこから引っ越しするだけのことであって、車や飛行機で移動するだけのガソリン代など最近はそこまで高くないわけです。
特に、勤勉な日本人が逃げられないように徹底的に税金を取るという手法は、アメリカの支配層を中心に自民党と公明党の政治家に権力を与えることではじめて可能になるわけですが、それさえも限界に近くまで来ています。
すでに、世界各国では政府がガソリン価格や電車運賃の価格を不当につり上げていることから、10万人から100万人単位の大規模な抗議運動が起きており、それが暴動化しているという報道が増えています。
チリ暴動が照らし出す、反緊縮デモが世界各地に広がる理由
(出典:2019年10月28日 Newsweek)
そこで、私は資本主義に代わる新しい経済システムを導入するために、「本当の価値」について真剣に考えてみました。
要するに、電気代が安くなり、ロボットやAIが単純労働をしてくれるようになり、人間は労働しなくても食えるようになったことで、モノとカネが生きる上の興味の中心ではなくなりつつあるということです。
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