次は商業用不動産がヤバい…米国“中小銀行の危機”が発端となって今後何が起きるか
 (出典:2023年4月5日 Yahooニュース)
これまで「安全資産」と呼ばれてきた「米国債(10年もの)」と「金(ゴールド)」ですが、今回は米国債に債務不履行リスクが出てきました。
FRBが政策金利を大幅に上げ続けてきたことや、地方銀行が融資してきた商業用不動産ローンがバブル崩壊で回収できなくなり、銀行自体が破綻してしまう確率が上がりました。アメリカの大都市中心部のオフィスビルの空室率は平均20%を超え、ついに金利が5%台に差し掛かってきました。
しかも、テナント需要はコロナ前の水準に戻る雰囲気がないので、市場規模は約3兆ドル(約340兆円)と10年前の2倍にまで拡大し、2008年に破綻したサブプライム住宅ローンのように金融危機の引き金になりつつあります。
結局、メディアが騒いでいる「政府債務上限引き上げ」の茶番劇よりも、「不動産価格暴落」のほうがリスクが高いことがわかります。次に破綻する可能性が最も高かったパックウエスト・バンコープは、経営再建策として不動産建設向けの債権を、別の不動産投資会社に売却したと報道されています。
経営難の米地銀パックウエスト、不動産融資債権を売却
 (出典:2023年5月23日 日本経済新聞)
すでにシリコンバレー銀行やシグネチャー銀行、そしてファーストリパブリック銀行は破綻していますが、それぞれ破綻のきっかけになったのがSNS上で経営が悪化していることが広まったことです。
その後、猛烈なスピードでATMから預金を引き出す人々が殺到し、インターネットバンキングで別の口座に送金されたわけです。銀行が簡単に破綻することが明らかになった今、銀行の連鎖破綻はこれから本格的に始まるものと考えられます。
銀行が破綻した際、支援するのが財務省とFRBですが、財務省は債務上限引き上げで身動きが取れず、6月のFOMC会議で利上げを停止する予定のFRBも決して余裕があるとは言えない状態にあります。
債務上限の引き上げをめぐり、イエレン財務長官は議会で対策が合意されなければ期限の6月1日にも「米国債がデフォルト(債務不履行)するおそれがある」と発言しています。バイデン大統領は、共和党のマッカーシー下院議長と何度も会談していますが、未だに妥協していません。
米議会予算局 デフォルト「重大リスク」6月前半に
 (出典:2023年5月13日 日本経済新聞)
そのような状況の中、米議会予算局(CBO)がデフォルトする日は「6月上旬」という予想を出しました。そもそも、アメリカ政府はオバマ政権時の2011年と2013年、そして2015年と3回もデフォルトの危機が起きました。
2011年は、デフォルト直前で債務上限法案が成立しましたが、2013年と2015年は債務上限の運用停止で何とか乗り切りました。今回、2011年と状況が似ているため、米国債の格付けランクは下げられる可能性があります。
その結果、急激に円高ドル安が進み、ニューヨークダウ平均株価が下落、米国債の金利が上昇することは避けられないと思います。なぜかと言えば、今回は景気の回復期ではなく、後退期に入っているからです。
米、地銀株の下落続く 米銀破綻、連鎖を警戒
 (出典:2023年5月3日 時事通信)
6月以降、まずは50以上のアメリカの地方銀行が破綻し、大手銀行のJPモルガン・チェース銀行やバンク・オブ・アメリカなどが買収して預金を保護しますが、商業用不動産ローン破綻までは守れないと思います。
これまでとは異なり、様々な問題が一度に起きることでいよいよアメリカ発の金融危機が始まるのではないでしょうか?つまり、2008年のリーマンショックよりも数百倍も大きな規模のバブル崩壊、そして大恐慌が襲ってくるということです。
アメリカを助けられるのは、今のところ属国である日本しか見当がつきませんが、G7で何が話されたのかを分析する必要があります。これまでアメリカ側についていた中東諸国や東南アジア諸国などは、すでに米ドルでの決済を減らしています。
インドや東南アジアは、ロシア産の安い原油や天然ガスをルーブルで購入したり、中国の人民元の貿易決済量が増えているのは米ドルが世界で信用を失ったからです。逆らえば戦争を起こすアメリカに、日本の自民党政権以外誰もついていこうとは思っていません。
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