「米国社会について真実を言っていたのはトランプのほうだった」エマニュエル・トッド見抜いた「トランプ支持者の合理性」
(出典:2022年11月5日 文春オンライン)
11月15日、ドナルド・トランプは大統領選挙に出馬表明しましたが、書類上では「United States of America(アメリカ合衆国)」ではなく、「United States(合衆国)」と記載されています。
ところが、ワシントン・タイムズなどのメディアは、支持母体であるはずの福音派のクリスチャンたちは「トランプを支持しない」、と報道しています。また、全米キリスト教議員連盟でもトランプに反対する発言をしていることが明らかになりました。
アメリカの有権者の約40%にあたる福音派は、伝統的なキリスト教の価値観を重要視していますが、必ずしも信仰心が篤いとは言えないトランプを支持していないのは明らかです。それよりも、ロシア正教会から「主席エクソシスト」に任命されたプーチン大統領を支持しているように思います。
今回、中間選挙で共和党が下院で過半数を獲得したことで、ウクライナへの支援法案は簡単には通らなくなります。しかし、福音派の多くは自分たちの価値観を実現してくれる同じアメリカ人のトランプを支持しない、という不思議なことが起こっています。
当然、福音派にトランプの支持者はまだ残っていますが、2024年の大統領選挙まで支持してくれるかどうかわからない状況です。つまり、トランプは福音派に頼るのをやめ、新しい国づくりに協力してくれる支持者を探しているのかもしれません。
Donald J. Trump@realDonaldTrump
(出典:Twitter@realDonaldTrump)
水面下でアメリカが分裂する中、表向きにはトランプの影響力が低下しているように見えます。そのような状況の中で、イーロン・マスクに買収されたツイッターは言論の自由を主張し始め、永久凍結されていたトランプのアカウントを復活させたわけです。
2021年1月9日以降、トランプは一度もツイートしていませんが、現在(11月30日時点)のフォロワー数は8778万人まで戻っており、凍結前のフォロワー数約8870万人を超えるまで後100万人弱となりました。
Key facts about Truth Social as Donald Trump runs for U.S. president again
(出典:2022年11月18日 Pew Resaech Center)
また、トランプを中心に設立されたSNS「Truth Social」のフォロワー数は460万人にとどまっており、マスクが解除してくれたツイッターに戻る可能性があります。結局、世界中の人々がトランプに注目しているのは間違いないわけです。
実際に、トランプは共和党支持者から依然として高い人気と強い影響力を持っており、特にテキサス州やフロリダ州などでは圧倒的に支持されています。例えば、中間選挙でトランプが支援した候補者の82%が当選しています。
2024年の米大統領選の共和党候補、世論調査では中間選挙後もトランプ氏首位
(出典:2022年11月24日 Jetro)
すでに共和党予備選挙の世論調査の結果が公表されていますが、トランプは50%前後の支持率を受けており、まだ出馬表明はしていないフロリダ州のデサンティス知事にダブルスコアの大差をつけています。
選挙前年(2023年)の上半期に実施される予備選挙の世論調査が重要視されている理由は、75%の確立で統一候補の指名を勝ち取っているからです。このまま何事もなければ、トランプが共和党の大統領候補に選ばれるはずです。
しかし、何度も言うようにトランプは「アメリカ合衆国」の大統領選挙に出馬表明したわけではなく、「合衆国」の大統領選挙に出馬表明しました。要するに、トランプが大事にしているのは自分と一緒に「新しい国づくり」を手伝ってくれる支持者たちであるということです。
アメリカ国内では、ワシントンD.C.の政治に強い疑念を持ち、バイデン政権の政策を不満思っている有権者は大勢います。今は「分かる人には分かる」段階ですが、これから多くのことが明らかになってくればトランプを中心とした「新しい国づくり」に賛同する人たちは増えてくると思います。
トランプの強さの秘訣は、誰も予測できない優れた才能であり、国民が感じている疑念や不満のエネルギーを転換させ、ディープステートに直接向けることができることです。
|