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有島武郎の農地解放から、日本、そして北海道ニセコの「土地資本主義」について考える


羊蹄山麓の昭和史-1 有島農場の誕生と終焉
北海道マガジンカイへのリンク画像です。


1900年当時、寄生虫のような大地主制度が施行され、土地の売買が自由になったわけですが、大金持ちたちが北海道で土地を買い叩くようになったと言います。


ところが、あまりにも過酷な労働をさせられてきた小作人たちは、収穫した農産物を70%も取り上げられていたわけです。ようやく食える程度の厳しい状況にある中、ついに小作人たちが争議を起こし始めたのが20年後の1920年頃であるようです。


そして、1922(大正11)年7月、現在のニセコ町に広大な土地を所有していた有島武郎(ありしまたけお)は、農場を全小作人たち(約70戸)に無償で解放し、その土地を全員で共有して農業を続けることを条件に、自分は農場を手放しました。


留学時代にロシアの思想家クロポトキンやトルストイの書物を読んだ有島は、小作制度の矛盾を自覚し、地主の利益至上で小作を苦しめるばかりの農場の存在が心の負担となっていました。そして、地主と小作を問わず農地を個人の所有にしないというこの宣言を可能にしたわけです。


45歳で亡くなった有島武郎は、自分の父親が横浜税関長の官僚で、出世して貯めた金で北海道のニセコ町から洞爺湖近くまでの土地を買い集めていました。結局、有島は土地を解放したことで、当時の日本政府からマークされるようになったと言われています。


ところが、そこから23年後に日本が太平洋戦争で大敗し、アメリカGHQ(進駐軍)が日本を占領し、あらゆる土地の法律を変更したことで結局は農地解放となりました。


その時、「自作農創設特別措置法」、つまり自作農の創設を目的とした、合わせて農地・未墾地などの買収・売渡しの要件、手続などを定めた法律が1946年に制定され、一気に日本全国の小作人たちに、農地を一人一町歩 (約1ヘクタール)を与えることになったわけです。


もし4人家族なら約4ヘクタールを貰えることになり、もともと自分が耕作していた土地をそのまま所有することになりました。これで日本が完全に保守化し、小作人たちが健全化することになるり、そして今の自民党体制を支える、穏やかな農民に成長していったということです。


【農協運動を検証する】今後の展望を切り開く 戦後70年 農協を顧みる
2015年10月6日の農業協同組合新聞へのリンク画像です。


その際、マッカーサーは、日本の華族制度が制定した「既成大地主制度」を廃止にし、三井や住友、三菱などの財閥解体を行いました。それが優れた政策であったことは、ようやく最近理解できるようになった人も多いと思います。


私は、このニセコエリアに2年ほど住み、この10年間は関係を作ってきましたが、有島武郎記念館の前を車で通るたびに彼は偉かったと思うことがあります。23年後には奪い取られた土地を一早く解放したのは先見の明そのものです。


北海道ニセコ町 有島記念館
北海道ニセコ町のホームページ有島記念館へのリンク画像です。


日本の大地主たちは、今でも私の周りでは70代以上の老人たちは、「農地改革で取られた」などと語っていますが、「昔は金持ちだった」と威張りたいだけなのがよく分かります。しかし、土地解放というのは、世界的な流れであって、しかも歴史の運命で当然の結果であるということです。


私は、クロポトキンの思想書やトルストイというロシアの作家の小説を読み、1910年に彼自身が自分が所有するモスクワ郊外にある広大な農地を解放したことを知りました。自分の土地というよりは、妻が貴族出身だから持っていた土地であったようです。


当然、妻はトルストイに激怒しましたが、ロシア革命前の貴族たちというのは先見の目が全くなかったように思います。しかし、トルストイの娘は父親の考え方を支持し、さらに賛同する人たちがヨーロッパ中から集まってきたと言われています。


その後、全世界で「集団農場解放運動」が始まったわけですが、その時すでにトルストイは世界的に偉大な作家として尊敬されていたようです。当時、日本人の知識人たちもモスクワでトルストイに会いに行っていますが、その知識人たちの思いが今も受け継がれているということです。

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