パナソニックはどこに向かうか?
(出典:2020年12月21日 NHK NEWS WEB)
トヨタ自動車など複数の自動車メーカーと電気自動車(EV)に必要な「リチウムイオン電池」の共同開発を行っているパナソニックは、これまで中国の科学技術を支援してきました。
パナソニックは、中国に貢献してきたわけですが、共産党政権というのはアメリカの衰退の裏で世界を呑み込んでしまうほどの権力を持ち始めています。つまり、今までの恩を仇で返す可能性もあるということです。
跡形もなくなった三洋電機のように、このままではパナソニックも中国に潰される時がやってくるかもしれません。現在のパナソニックは、前社長の経営戦略が失敗したことで将来の戦略が立てられないままの状態にあります。
「テスラ電池」パナソニックに影
(出典:2020年10月14日 日本経済新聞)
テスラと組んだバッテリー事業は好調とは言えず、テレビなどの家電製品は売れ行きが良くないだけではなく、住宅部門も芳しくないと報道されています。日本では、国産エアコンや洗濯機、そして冷蔵庫のイメージが強いと思います。
最近、小型冷蔵庫などの家電は中国製の日本ブランドが独占しつつありますが、どうしても日本製にこだわる人は高額商品以外の選択肢がなくなってきました。トヨタもそうですが、パナソニックも「大企業病」にかかっています。
要するに、顧客に目を向けずに株主優先の経営体制に陥っているということです。コロナの影響で、中国以外の市場は軒並み販売台数を減らしているのは明らかです。しかし、中国の工場で生産している以上、中国メーカーに技術を盗まれ続けているのが現状です。
これまで、日本製のブランド名だけで売れてきた感がある東芝やシャープ、その他の電化製品のクオリティーが落ちていることが懸念されています。特に、シャープは台湾企業のホンハイに買収されて以来、液晶技術の品質が全く上がっていません。
数年前まで、シャープの液晶テレビは「亀山モデル」によって世界最高の品質を保っていましたが、ついにパナソニックよりも品質が低下しました。いくら価格を下げても買う人が少ないのであれば、さらにリストラが行われます。
また、パナソニックが吸収合併した三洋電機の洗濯機「アクア」は、中国ブランドの「ハイアール」と同等に見られつつあります。実際に、日本で生産されている製品は、品質的に中国製とはエンジニアリング的に大きな差があります。
ところが、日本国内で生産される家電が少なくなってきました。1990年以降、グローバリゼーションの煽りで日本の製造メーカーはアジア各国に工場を建て、現地の若い人たちに日本の技術を伝えてきました。
狙われる技術大国・日本、企業の「営業秘密」を守るには
(出典:2020年12月24日 WEDGE Infinity)
一方、日本国内には技術者の人数が減り、若い人も教わる気が失われたように思います。理系の技術者ではなく、文系のマーケッターがさらに海外で生産するために動いているわけです。当然、国内の科学技術のレベルは低下し続けています。
高度成長期に当たる団塊世代が70代に到達した今、50代以下の技術者の数は年々減少しています。自分たちで生産するのではなく、相変わらず安い人件費の国を探し回っていることから、やがて日本は製造国ではなくなります。
とはいえ、欧米諸国の技術者のようにデザイン性が高い工業製品は日本人には向いていません。なぜかと言えば、企画やコンセプトデザインを作るための教育を受けておらず、感性も持ち合わせていないからです。
文部科学省ホームページ:科学技術関係人材の育成・確保
(出典:文部科学省)
日本の学校教育というのは、文科省が指導するようにサラリーマンになるためのロボット人材しか育成できなくなっています。製造分野だけではなく、建築分野やIT分野などにもそのことが現れています。
日本人のほとんどは、日本で生まれ育っていますが、時間と空間を理解できるような教育が行われていません。着ている服や使っている日用品も、今はチェーン店の安いモノしか買えなくなりました。
今後、中国やインド、そして東南アジアなどの人口が増えている国から優秀な技術者が誕生することになるかもしれません。だから、若い頃から海外に住んでおく経験が必要なのです。
|