スリランカ「破産」宣言 燃料不足…インフレ率60%見通しも
(出典:2022年7月7日 日本経済新聞)
新興国や発展途上国の場合、信用が低い自国通貨建てで国債を発行することは簡単ではありません。ほとんどの場合、信用が高いドル建てで国債を発行し、金利も米国債と同じ水準に調整する必要があります。
だから、インフレ対策のためにアメリカFRBが金利を上げると、ドル建ての国債を発行している国々の金利も高くなります。常に財政がひっ迫している新興国や発展途上国は、いつか利払いさえできなくなるほど苦しくなっていくわけです。
経済破綻したスリランカは、毎年のように垂れ流していた貿易赤字を債務の返済に充ててきました。そして、債務不履行(デフォルト)に陥ったということです。その後、悪名高いIMF(世界通貨基金)に支援を求めることになります。
IMFに支援を求めると、まず極端な緊縮政策が強要されるので、国内の貴重な天然資源、つまり森林や水源が欧米資本に売却されることなります。その結果、さらにドル建て債務を発行することになります。
『国家が破産する日』本編映像
(出典:2019年11月25日 Youtube@CinemaGeneシネマジーン-女子向け映画情報メディア-)
一度この悪循環に陥ってしまうと簡単に抜け出すことはできないので、ウクライナ戦争以後は新興国や発展途上国は欧米側から離れてロシア側につく動きが始まっています。
もし、中国とロシアが中心のユーラシア経済圏で新しい国際通貨が導入されると、世界各国が「脱ドル」の方向に向かうのは間違いありません。もうこれ以上、アメリカの金利上昇による為替変動の影響を受けたくないということです。
通常、自国通貨が安くなるとインフレ率が上がりますが、IMFに自国経済を牛耳られるよりはマシです。また、デイープステートの手先となって戦争に駆り出されることもごめんです。「債務の罠」にはまることだけは避けたいので、どうしてもロシア側についていきたいと考えています。
このユーラシア経済圏の構築と、新しい国際通貨による脱ドル化の動きは、明らかにウクライナ戦争が引き金となって起こっています。そして、この脱ドル化の動きが唯一のインフレ対策であるのは間違いありません。
2008年に起きたリーマンショック(世界同時金融危機)の再現となる次の金融危機は、世界各国が脱ドル化するタイミングで起こされます。危機とは起こるものではなく、起こされることはコロナ騒ぎでもウクライナ戦争ではっきりしています。
米住宅ローン金利が6.2%突破、金融危機以来の高い水準に
(出典:2022年6月16日 Yahooニュース)
FRBは、9.4%まで上昇したインフレを抑制するために、ほぼ毎月0.75%程度のペースで金利を引き上げています。その結果、アメリカの住宅ローン金利は半年で2倍となって6%を超えています。
さらに、アメリカ企業の多くは2009年から13年も続いた低金利で資金繰りをしていたために、金利が上がりだして負債を抱えるようになりました。そのうちの約70%の社債は、ジャンク債よりもマシですが格付けを下げられています。
2006年の企業債務は9兆ドルでしたが、現在はその倍の18兆ドルにまで膨らんできました。FRBによる大幅な金利引き上げは、これから多くの企業を経営破綻させていきます。金利上昇で事業ローンの支払いができなくなり、これから企業の倒産ラッシュが始まります。
金利上昇で株価も下落しましたが、債券も下落しています。世界の金融システムの中心は国債や社債などの債券市場です。債券市場は、欧米諸国でインフレが始まってから金利が上昇して価値を失いつつあります。
世界的な債券市場の混乱、インフレとの闘いにおける危険な副作用
(出典:2022年8月2日 Bloomberg)
世界の債券市場は250兆ドルですが、金利が上昇するたびに価値を失くしています。1980年代には金利が20%まで上昇したことがありますが、当時と同じインフレ対策であったとされています。
債券価格が下がっているので、当然、民間銀行の資本価値も下がってきました。2008年の時のように、政府や中央銀行が銀行を救済する余力はなく、ゼロ金利と金融緩和政策を継続させることはもうできません。
政治経済的にアメリカから離れる動きは本格的に始まっており、世界はG20やBRICs諸国への期待が大きくなっていきます。世界の脱ドル化で、さらにドル安が進むので金利上昇で下落している債券市場の相場は暴落します。
2023年にも予想されている金融危機の発生で、日本を含む西側諸国の金融システムは今度こそ完全に終わると思います。金融に依存しないビジネスモデルと、新たな産業を作り出すことが求められています。
|