BRICS首脳会議中国とロシアは対欧米で結束強化を呼びかけ
(出典:2022年6月24日 NHK NEWS WEB)
6月23日、ウズベキスタンのサマルカンドで「第14回BRICs首脳会議」が開催されました。ロシアのプーチン大統領を中心として、ブラジル、インド、中国、南アフリカ、そしてロシアの5ヵ国の経済圏が新たな基軸通貨を発行する計画であることを明らかにしています。
さらに、トルコやエジプト、サウジアラビアがBRICsへの加盟を検討していることも公表しました。欧米の国際金融資本は、IMFを利用して米ドルを世界の基軸通貨として維持していますが、BRICsはそれに対抗するための組織です。
一方、中国の習近平主席もロシアへの経済制裁に反対し、国際金融資本による世界金融システムの支配構造に疑問を呈しています。BRICs首脳会議は、ウクライナ戦争後の状況を踏まえ、中国とロシア主導のBRICsを中心とする金融システムの立ち上げを宣言したようなものです。
ロシアが火をつけた「石油地政学」戦争、米国の覇権に亀裂を入れるか
(出典:2022年8月5日 Yahooニュース)
今後、ユーラシア大陸を横断するシルクロードと、南シナ海、インド洋からヨーロッパにまでの海上シルクロードに沿って発展し続けている「一帯一路」に加えて、次はインドから、中央アジア、中東及び、バルト海までの船舶、鉄道、道路の輸送ネットワーク計画が進み始めました。
具体的には、ロシアのサンクトペテルブルクから陸路でコンテナを運び、カスピ海を経由してイランやインドまで輸送するという航路です。また、中国の大連からロシアの海岸線に沿って北極圏を回り、オランダのロッテルダムまでの航路もあります。
現在、欧米の影響下にあるスエズ運河回りの航路よりも10日も短く、またコストも安いことから世界中で注目されています。中国の一帯一路に加えて、さらに2つの新たな航路を増やすということは、ユーラシア大陸をヨーロッパに接続するのが目的です。
今回、この航路を通すことで中国やロシア、イラン、インドなどのBRICsは、アメリカ主導の国際ルールに従う必要がなくなります。残念ながら、日本はアメリカ主導の経済システムに組み込まれており、参加することはできません。
BRICsでは、GDPや領土、人口などの評価基準によって、各国通貨のバスケットと天然資源の価格インデックスに組み込んだ新たな国際通貨を発行しようと計画しています。当然、IMFなど中央銀行に対抗するための通貨です。
ジム・ロジャーズ「米ドルは安全な通貨ではない」
(出典:2022年8月8日 Yahooニュース)
すでに、G20加盟の新興国は脱米ドルの動きを見せています。アフリカなどの発展途上国も同様、ロシアや中国側につきざるを得ない状況にあります。そして、2023年にも起きる可能性が高い「世界金融危機」に備えるというわけです。
世界的なインフレはコントロール不能になりつつあり、欧米諸国では約40年ぶりに9%も上昇しています。特に、石油と天然ガスの価格は例年の3倍近くまで上昇し、今年の冬は餓死者と凍死者で溢れる可能性が出てきました。
ヨーロッパでは、食事の回数を減らすのか、それとも暖房を取るのかの選択が取られており、数ヵ月後にはその影響が出てきます。その原因は、欧米諸国が「ロシアへの経済制裁」を始めたからです。
また、中国の「ゼロコロナ政策」で起きたサプライチェーンの崩壊も含め、石油と天然ガス、さらに小麦や飼料を含む幅広い食料品も品薄状態が続いています。さらに、気候変動による農業生産量の低迷もあり、食料価格が高騰しています。
トルコ中銀利下げ、市場に衝撃−インフレ率85%に上昇と予想でも
(出典:2022年8月18日 Bloomberg)
そのような状況の中、欧米諸国は高インフレに対処するため急激なペースで利上げに踏み切っています。それによって、日本など利上げに消極的な国との間で金利差による通貨安が起き始めました。
世界中の資金が、金利の高い米国債に集中し、円を売ってドルを買う動きが活発になったことで、1ドル=130円台まで円安ドル高が続いています。このことは日本だけでなく、世界各国で大きな痛手になっています。
エネルギーと食料価格の高騰に、さらに通貨が下落して輸入品が買えなくなり、国内のインフレが止まらなくなっています。現在、トルコのインフレ率は80%で経済破綻したスリランカは70%です。
その他、アフリカ諸国では20%近くまでインフレ率が上昇し、国民の生活水準は苦しくなって不満が高まっています。問題はインフレに苦しむ各国政府の多くが、ドル建ての債務を抱えていることです。
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