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欧州のキリスト教圏と中東のイスラム教圏の真剣さの違い


ナゴルノ紛争「完全停戦」で合意、アゼル「アルメニアの降伏」と主張
2020年11月10日 AFP BB NEWSへのリンク画像です。

(出典:2020年11月10日 AFP BB NEWS)


現在、NATO加盟国であり、イスラム教徒の国であるトルコは、同じイスラム圏のアゼルバイジャンに対して軍事的な支援を行っています。ついにアゼルバイジャンとアルメニアの紛争は終了したようです。


一方、キリスト教徒の国であるアルメニアは、アゼルバイジャン軍が保有するイスラエル製ドローンによって5000人以上が殺害されました。フランスはアルメニアを支援しており、マクロン大統領がトルコのエルドアン大統領に抗議しています。


フランス政府、駐トルコ大使を召還−エルドアン大統領の発言に抗議
2020年10月26日 Bloombergへのリンク画像です。

(出典:2020年10月26日 Bloomberg)


また、マクロン大統領はムハンマドの風刺画を肯定し、「何があっても取り下げない」と表明してしまいました。さらに、18歳のイスラム教徒に殺された中学教師は、大臣や将軍でもないのに国葬されました。


日本では、売国奴であった故・中曾根康弘・元総理大臣のために9000万円の税金で葬式が行われましたが、それとは全く意味が違います。マクロン大統領は、世界中のイスラム教徒に脅しをかけているわけです。


よりによって、アゼルバイジャンとアルメニアの紛争中にマクロン大統領が主張する理由は、フランス国民の多くがイスラム圏からの移民に対して反感を持っているからです。


私自身、米軍で様々な体験をしてきました。日本に帰国後、世界40ヵ国、1000名を超える外国人を語学講師として採用してきました。つまり、日本人と外国人の間の仲介のため、世界平和のための活動もしてきました。


当然、その中には宗教的な融和や統合のような大きな課題がありました。個人的には、アメリカのキリスト教会の大部分に当たる「福音派」のクリスチャンであり、ユダヤ教の聖典である旧約聖書を何度も繰り返し読み返しました。


日本に来てからは、仏教や神道についての書物を読みました。年に10回以上、寺院にも神社にも行くことがあります。ところが、イスラム教に対して全く関心を持つことができずにいます。イスラム教というのは、実はユダヤ教やキリスト教とは兄弟関係にある宗教です。


聖書の中の気になる人物―イシュマエル(1)声なき声を聞かれる神
2017年5月13日 CHRISTIAN TODAYへのリンク画像です。

(出典:2017年5月13日 CHRISTIAN TODAY)


聖書の預言者アブラハムには、イシュマエルとイサクという2人の息子がいました。ユダヤ人はイサクの息子ヤコブの子孫であると言い、イスラム教のコーランではアラブ人をイシュマエルの子であるとしています。


また、イスラム教はイエスやモーゼなどユダヤ人の預言者たちを神によって選び出され、神の言葉を伝える使命を帯びた者であると認め、ムハンマドを最後の預言者であるとしています。結局、どの宗教も同じようなことを言っているわけです。


他方、国連などの国際機関では道徳や倫理、平和、環境問題などが議題にされることが多いですが、イスラム圏諸国の対応は欧米諸国や日本よりも真剣に捉える傾向が強いと思います。つまり、何事にも真剣だからこそ諸外国との対立を生みやすいわけです。


日本でもイスラム教徒はいますが、日本に滞在しているイスラム教徒にとっては戒律を厳しく守ることは生活そのものであるように思います。そのあたりが欧米人や日本人のマインドとは、全く異なっています。


日本の場合、江戸時代まで神道や仏教徒的な生活をしていたと思いますが、現代の日本人には欧米的な生き方のほうが親しみを感じています。神道や仏教は、生活そのものではなく、年に数回関わるだけです。


元々真面目な日本人が、イスラム教徒のような生き方をすれば犯罪行為は起きなくなります。家庭や職場では、幸せな雰囲気が漂っているかもしれません。しかし、それができないから私たちは苦しんでいます。そういう意味では、明らかにイスラム教は日本より厳格に宗教が運用されています。


イスラム世界で怒り拡大 仏「冒涜の自由」が波紋
2020年10月31日 時事通信へのリンク画像です。

(出典:2020年10月31日 時事通信)


キリスト教とは異なり、イスラム教の聖典「コーラン」は、正しいアラビア語の発音やイントネーションができないと翻訳することすら許されていません。安易にAtlasマンツーマン英会話のコースには入れることはできないわけです。


例えば、イスラム教の聖典を日本語に訳して出版することは、イスラム諸国ごとに許可が必要なようです。文章に落として本にして配るものではないということです。江戸時代までは、日本の神道もそのような価値観があったとされています。


要するに、イスラム教というのは真剣な宗教であるということです。欧米人と敵対している印象が強いですが、物事を真面目に捉えすぎるとどこかで角が立ち、結果として争いになる可能性があります。このバランスが最も難しいところです。


日本でも、職場などで真面目な社員が上司や社交に意見を強く言いすぎると、目をつけられて地方に飛ばされたりすることがあります。ところが、いい加減に仕事をやっていると会社が腐敗していきます。このバランス、そしてさじ加減こそが重要です。

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