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中国の「スマート・ロジスティックス」が世界を席巻するA 「スマート・コントラクトと自動決済」

2022/2/17 (木)


「中国標準2035」のまぼろし
2022年2月7日 Newsweekへのリンク画像です。

(出典:2022年2月7日 Newsweek)


中国の大手企業「アリババグループ」は、世界最大級の通販サイト「淘宝網(タオバオ)」と決済大手「支付宝(アリペイ)」、そして物流大手「菜鳥(ツァイニャオ)」によって「スマート・ロジスティックス」を成立させています。


その物流システムの基礎になっているのが5GやIoT、AI、産業用ロボット、ビッグデータ、そしてブロックチェーンなどの次世代型の最新ITテクノロジーです。中国は、IT分野で「中国標準2035」という計画を戦略的に推進しています。


菜鳥の物流インフラは、中国製の5Gのワイヤレス・ネットワーク規格を使っています。実は、中国基準の5G規格が世界各国の物流分野で導入されています。菜鳥の成功例を聞きつけて、世界中の企業が注目しているのは明らかです。


また、菜鳥のプラットフォームで注目度が高い理由として、「スマート・ロジスティックス」のシステムを使えるのは中国企業には限定されていないからです。世界中の企業が、全く同じシステムを使えるわけです。


ラストワンマイル配送の自動化において、ロボットがeコマースにもたらす革命とは?
ALIBABA NEWS JAPANESEへのリンク画像です。
(出典:ALIBABA NEWS JAPANESE)


菜鳥は、アメリカ大手流通業の「UPS」や「FedEx」と提携しており、倉庫管理や一部の企業間物流を行っています。つまり、菜鳥のスマート・ロジスティックスは、世界のグローバル・スタンダードとしてすでに認知されているということです。


例えば、世界中のエンジニアが開発しているマイクロソフトの「Windows」やアップルの「iOS」、グーグルの「Android」のOSのように、菜鳥(Cainiao)ものスマート・ロジスティックスもどんな企業でも使える汎用性の高いプラットフォームであるのは間違いありません。


また、菜鳥のプラットフォームにはブロックチェーンに搭載されている「スマート・コントラクト」が利用できるので、過去データを自動的に残して改ざんできないようにプログラミングされています。


アントグループ、アントチェーンを活用した中小企業および金融機関向け国際貿易・国際金融サービスプラットフォーム「トラスプル(Trusple)」を発表
2020年10月1日 ALIBABA NEWS JAPANESEへのリンク画像です。

(出典:2020年10月1日 ALIBABA NEWS JAPANESE)


要するに、サプライチェーンで結ばれた生産者と卸業者、小売業者、船会社などとの契約が自動的に実行されます。さらに、企業間の決済も製品の輸出入が完了した時点で複雑なプロセスを得ることなく、自動的に実行される機能が付いています。


世界中どこでも72時間以内に製品を届ける菜鳥のスマート・ロジスティックスは、中国共産党政権が崩壊しても新しい政権が継続してサポートすることになります。それほど経済活動に必要なインフラであるということです。


さて、菜鳥と似たようなシステムは中国IT大手「華為(HUAWEI)=ファーウェイ」も開発しています。現在、ドイツの物流大手DHLと提携して開発が進んでいます。中国では、二大スマート・ロジスティックスのプラットフォームがいい意味で競争し合っている状況にあります。


ところが、この最大限の効率性を発揮しているスマート・ロジスティックスは、米ドルを中心とした国際決済システムである「SWIFT」にはまだ対応できていません。


コラム:離陸へ進む「デジタル人民元」 中国政府の狙いと苦悩
2020年11月30日 Reutersへのリンク画像です。

(出典:2020年11月30日 Reuters)


国内だけの決済であれば迅速な決済が可能ですが、国境を越えた国際貿易には様々な障害があります。例えば、シンガポールの企業が民間銀行からオーストラリアの企業に送金する場合、民間銀行は「コルレス銀行」を通さないと送金するよう通知されないわけです。


コルレス銀行のオーストラリア支店は、受取人が口座を持つ銀行に送金するという二度手間で時間をかけるので、72時間以内に世界中どこでも荷物を配送するスマート・ロジスティックスのシステムは成立しません。


SWIFTやコルレス銀行に群がる利権構造は、これまで私たちの邪魔ばかりしてきました。既得権益者だけが、高い手数料でカネを吸い取ってきました。ワクチンを接種すると血栓ができるように、米ドルはもはや利用価値のないものとして認識されつつあります。

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