プーチン大統領、ウクライナ「併合」4州に戒厳令
(出典:2022年10月19日 日本経済新聞)
ロシア軍は、10月10日にウクライナの首都キエフや近郊に約90発のミサイルを発射し、イラン製の無人ドローン機による空爆を行いました。
その翌日、ポーランドとの国境の町で西部リビウにも約30発のミサイルを発射しました。プーチン大統領は、「8日にクリミア大橋を爆破させたことへの報復攻撃」であると宣言し、ウクライナ側の情報では多くの死傷者が出ていると発表しました。
ウクライナ空軍やキエフのクリチコ市長は、ロシア軍が発射したミサイルやドローンのほとんどを迎撃したと説明しています。迎撃した映像は見つかっていませんが、欧米から支援された防空システムは機能しているように思います。
一方、プーチンは「クリミア大橋を爆発したのはウクライナの諜報機関SBU(保安局)によるテロ行為…」と指摘し、報復を宣言しました。つまり、ロシアの領土でテロを起こせば、ウクライナ全土に報復するということです。
ウクライナでは停電が徐々に復旧しつつありますが、ウクライナ軍がもがけばもがくほどウクライナ国民が被害を被ることになります。ウクライナ政府の説明では、半数以上のミサイルは迎撃されたとしてますが、ロシアの報道では迎撃されたミサイルは25%程度と報じられています。
そのような状況の中、プーチンは併合した4州に戒厳令を導入する大統領令に署名しました。具体的には、居住者の移動の自由などを制限し、ロシア軍による統治体制を強化するとのことです。ウクライナの攻撃に伴い、戦時体制への備えを進めていきます。
ドローン37機を撃墜とゼレンスキー大統領、ロシアは前線での敗北を「テロ」で隠蔽していると非難
(出典:2022年10月18日 Yahooニュース*)
相変わらず、日本を含む西側メディアの報道では、プーチンが国内の反対派に批判されたことで、追いつめられて首都キエフを攻撃した「苦肉の策」である、というプロパガンダを継続しています。
しかし、現地の独立系ジャーナリストや軍事評論家の情報では、ロシアは追いつめられてはおらず、優位性は変わらない、と報告しています。ちなみに、今回の攻撃は発電所など民間のインフラの他、SBU本部も含めウクライナ政府の施設が破壊されました。
また、ウクライナ警察のサイバーセキュリティー担当者が殺害され、あくまでピンポイントでターゲットを絞っていることがわかります。テレビや新聞しか目を通さない人たちは、これから起きることに全く対応できなくなるはずです。
ロシアは、ウクライナ戦争の本質的な方針転換を示したことで、いよいよ「特別軍事作戦」から「対テロ戦争」へ移行したことになります。要するに、ロシアはウクライナの北部・西部にある都市を破壊しつくすことになるかもしれません。
「テロ行為が続けば我々の対応は厳しくなる」プーチン大統領 一方、「脅しには屈しない」ゼレンスキー大統領は戦闘を続ける意志を強調|TBS NEWS DIG
(出典:2022年10月11日 Youtube@TBS NEWS DIG powered by JNN)
戦時中に日本全土が米軍機B29爆撃機で焼け野原にされたように、テロ攻撃を企てるウクライナは焼け野原にされてしまうわけです。そして、最終的には広島と長崎に原爆が落とされたように、首都キエフや西部リビウに小型の戦術核が使用されるかもしれません。
今回、ウクライナ北部や西部へのロシアの攻撃は、単にクリミヤ大橋爆破の報復だけではなく、ウクライナ戦争の本質的な方針変更を示しているのは明らかです。なぜかと言えば、これまでプーチンは一度も「戦争」という言葉を使っていないからです。
あくまで特別軍事作戦と呼び、全面戦争ではないと主張していました。プーチンは、ウクライナ問題を政治的に解決するための手段として軍事力を使っていましたが、ウクライナ全土を占領したり、ゼレンスキー大統領を失脚させようとはしませんでした。
今から7年前の2015年、ロシアはイスラム系テロ組織ISと戦うアサド政権を支援するためにシリア内戦に介入しました。その際、地上での戦闘はシリア政府軍が担当し、ロシア軍は航空支援を担当していました。
しかも、隣国トルコやアメリカとの衝突を避けるため、民間軍事会社を地上戦に参加させています。そして、あくまで政治的交渉によってアサド政権を存続させようとしました。その結果、シリアを支援してきたロシアやイラン、そしてアサド政権はトルコと交渉を続けてきました。
トルコがアサド政権に接近か 方針変更にロシアの侵攻も影響
(出典:2022年9月29日 毎日新聞)
今年9月、トルコのエルドアン政権はシリアのアサド政権との話し合いで、アサド政権を承認する方向に動いています。プーチンは、シリア内戦と同様にウクライナ侵攻当初から政治的交渉によって解決しようとしてきたわけです。
だから、ウクライナでも地上での戦闘は親ロシア派の民兵やチェチェン軍、そして民間軍事会社のワグネルに任せています。今回も、ロシア軍は武器の提供と航空支援だけであり、軍事力を展開しながらも政治決着を優先させてきました。
侵攻前、プーチンはウクライナ政府に要求していたルガンスク州とドネツク州に自治権を与えることや、クリミア半島の容認、そしてウクライナのNATO加盟入りは、2015年の締結された「ミンスク合意」とほぼ同じ内容です。
結局、ミンスク合意を一方的に破ったのはウクライナ側であり、トルコが和平案を仲介していた3月まではゼレンスキー政権も交渉には前向きでした。ところが、アメリカとイギリスのディープステートが戦争を長引かせているわけです。
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