アメリカで再びサブプライム住宅ローン危機の可能性　日本でも変動金利と固定金利（10年）で住宅ローン破綻が起きる②

本当は不動産バブル崩壊を食い止めるためですが、FRBは表向きの理由としてインフレ高騰を抑えるために政策金利を引き上げたわけです。

その結果、住宅ローンの金利は7％台にまで上昇し、誰も不動産を買わなくなっています。2007年当時、サブプライム住宅ローンの金利は30％台にまで急騰しましあが、まだその水準には至っていません。

しかし、2月以降にロシア軍が本格的にウクライナを攻撃することになれば、6％台まで下落したインフレ率（消費者物価指数）は再び9％台に戻す可能性があります。また、賃金の上昇スピードが遅いことで、アメリカ国民の実質賃金は低下したままの状態です。

だから、不動産価格は下落し始めています。アメリカ人の多くが不動産を購入したい中、自宅を担保に安い金利のローンへの組み替えができず、これから利払いさえできなくなって住宅ローン破綻者が増えてくる、と指摘されています。

2008年に起きたリーマンショックのきっかけとなった金融商品のCDOは、反省されることなく現在まで取引されています。再びCDOが破綻する可能性があり、一部では今年秋頃に大規模な金融危機が起きると言われています。

実際に、アメリカの住宅市場は全く活気がなく、中古住宅の販売件数は12ヵ月連続で減少しています。アメリカは移民を受け入れているため、人口が増加しているにもかかわらず、家を購入しようとしない傾向が続いています。

FRBが政策金利を引き上げ続けていることが原因で、住宅市場にマイナスの影響を与えていることは間違いありません。結局、日本人と同様にアメリカ人のほとんどが、住宅ローンを組んで家を購入するのが当たり前になっています。

富裕層以外は、金利が高いうちはすぐに家を買おうとはしないので、住宅価格が下落するのは当然のことです。問題は、日本でも同じようなことが日銀の政策金利の引き上げで起ころうとしていることです。

昨年12月に日銀が金融政策を修正したのをきっかけに、大手銀行は固定型の住宅ローン金利を引き上げました。しかし、変動型の住宅ローンの金利は据え置きにされています。しかし、3月頃に日銀が政策金利を上げれば確実に変動金利も上がります。

日銀が低金利にしていた理由は、日本が30年以上もデフレ状態で経済が成長しなかったからです。今後、さらに物価が上昇してインフレ高騰が始まれば、日銀は必ず政策金利を引き上げてきます。固定金利は長期金利と連動していますが、変動金利は短期金利と連動しています。

つまり、日本でも国債が「逆イールド現象」を起こすと変動金利は急騰することになるわけです。そのタイミングは、アメリカで再びサブプライム住宅ローン危機が起きる今年秋頃であるように考えられます。

私は、世界的な住宅ローン金利の急騰で、アメリカでも日本でも住宅ローン破綻が増えてくると思っています。同時に、住宅価格が下落するので自宅の担保価値も下落し、低金利のローンへの乗り換えができなくなります。

こうして住宅ローンは破綻者を増やすので、最終的にCDOも破綻して「第二のリーマンショック」が起こるというシナリオです。ところが、金融危機が起きないように金融機関には信用基準の調整や監視の強化などが導入されています。

要するに、返済能力が高い人だけに厳しい住宅ローン審査を実施しているということです。また、CDOが破綻したとしても金融機関には十分な準備金を義務付けられています。だから、リーマンショックの10倍以上の規模の大暴落が必要なのかもしれません。

現在、プロの投資家たちは日本の不動産価格の下落を待っています。底値で買い叩いて、数年後に高値で売却するのが目的ですが、私は少子高齢化の日本に不動産の価値があるとは思っていません。