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アメリカとロシアの軍事的対立の根源について@ 「世界覇権についての相違」

アメリカ国旗とロシア国旗

日本のマスメディアはあまり報道しませんが、アメリカとロシアの対立は非常に高まっています。そもそも、その基本的な理由について考えてみたいと思います。


アメリカとロシアの対立の根底にあるのは、石油や天然ガス、そして金(ゴールド)やレアアースの支配を巡る争いがあるものと考えられます。その典型的な例として、ベネズエラやイラン、トルコ、シリアを舞台にした最先端戦闘機のシェアの奪い合いがあります。


しかし、ロシアとアメリカには資源の支配争いを越えたもっと根源的な対立の側面があります。それは、ロシアとアメリカが国是とする「世界秩序」「世界覇権」についての根本的な意見の相違です。


まず、アメリカのトランプ政権の本質は軍産複合体とネオコン、そしてウォール街の利害を代表しており、アメリカの世界覇権の永続化を目標にした政権であることを知ることから始まります。多極化を容認したオバマ政権とは正反対と言えます。


2017年のトランプ大統領は、グローバル化の影響で職を失った中間層を代弁し、汚れたワシントン政界の浄化を行う革命政権として出現したように見えましたが、それは中間選挙に勝利するためにトランプ大統領が利用したに過ぎなかった可能性があります。


今、トランプ政権の実態は、アメリカ覇権の維持のためにあらゆる手段を使うような強硬な軍事政権になりつつあります。このようなトランプ政権の基本政策には、中国やロシア、イランとその同盟国発展の抑止が挙げられます。


また、中国や朝鮮半島、日本など東アジア共同体の抑止とその発展の妨害も行っているように思います。さらに、中東で反米的な独裁国家が出現しないように、中東全域を小国家に分断する「中東流動化計画」も行っています。


これはトランプ政権が初めて計画した政策ではなく、アメリカの外交政策立案組織である外交問題評議会(CFR)が伝統的に追求している政策です。クリントン政権やオバマ政権では、この基本計画は弱まり、一部多極化を容認する方向性を示したものの、トランプ政権ではこの伝統的な計画の全面的な追求が基本になっています。


一方、ロシアが国是とする「世界秩序」や「世界覇権」についてですが、プーチン大統領ははっきりと語ってはおらず、政策文書のようなものも公開されていません。しかし、元側近のアレクサンドル・ドゥーギンの思想である「新ユーラシア主義」ではわかりやすく示唆されています。


ドゥーギンは1990年代にロシアで「ユーラシア党」を立ち上げ、政治活動を始めており、ロシアでは地政学の戦略家として認識されています。その影響力はロシア軍や安全保障機関、そしてプーチン政権の首脳などロシアの支配体制の根幹に及んでいるとされています。


「新ユーラシア主義」とは、ユーラシア全域からアメリカの影響力を徹底的に排除し、ロシアを唯一の帝国とすることですが、現在のグローバルな国際秩序ではなく、それぞれ異なる文化圏を中心にした新たな多極的秩序に再編成することが、世界秩序の在り方としています。


ドゥーギンによると現在のロシア東部から中国、そしてヨーロッパまでのユーラシア大陸は、アメリカの政治的な利益を優先に押し付けられた秩序となっており、これをそれぞれの地域の宗教や文化の区分けをしながら、多極的に再編成することが自然に沿っているということです。


この視点から見ると、もともとロシアはユーラシア大陸の多様な文化圏全域をカバーする広大なソビエト連邦を統治していたこともあり、その領土を回復することこそ自然であるということになります。


つまり、ロシアという国は帝国であることが本来の伝統的な姿であるということです。そうした帝国ロシアであるからこそ、異なった文化圏を統合した多極的な国際秩序の形成が可能になるというわけです。


これが、「新ユーラシア主義」という思想を持つロシアを中心にした世界秩序のイメージであり、ドーギンは様々な文化圏が共存したローマ帝国時代と比較しているようです。

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