第3波到来するも重症化しにくくなったのはなぜ?
(出典:2020年11月26日 JB Press)
新型コロナウイルスの世界的な致死率低下のはっきりとした原因は、専門家の間でも結論は出ていませんが、まず治療方法の発展が指摘されています。
例えば、軽症にはアビガンやレムデシビル、そして重症化した際にはアクテムラを投与し、それでも回復しないと時はECMO(体外式膜型人工肺)を使用するなど、「治療方法が確立」したことで病院側が対応できるようになっています。
しかし、致死率の低下は医療体制が整っていない発展途上国でも起きています。致死率の低下は、質の高い医療が提供されている先進国だけの現象ではなく、治療方法の確立だけでは致死率の世界的な低下は説明できないのが現状です。
また、「集団免疫」についても感染者が増えることによって、このウイルスに抗体を持つ人口も増えているために致死率の低下が起きていると解釈されています。ところが、抗体を持つためには国民の約60%が感染していなければなりません。
世界で最も感染者数の多いアメリカでも、感染者は人口のわずか0.4%しか抗体を持っていないとされています。集団免疫が成立する水準とはほど遠く、他の国々でも似たような状況にある中、集団免疫ができる状態ではないものと考えられます。
そのような状況の中、致死率の世界的な低下の原因は「ウイルスの弱毒化」の可能性が高いと思います。当然、専門家の間でも見解が分れているため一概には言えませんが、弱毒化して宿主である人間を生かすことにより、ある程度の勢力を維持する方向に向かっているということです。
つまり、新型コロナウイルスは少しずつ人類と共存しつつあるということです。今年3月、専門家の何人かウイルスの感染拡大は終息することはなく、最終的には世界人口のおおよそ半分が感染する可能性があることを指摘していました。
COVID-19 CORONAVIRUS PANDEMIC
(出典: worldometer)
100年前のスペイン風邪よりは致死率が低くても、今回の致死率は約1%程度になると予測し、死者は1億人近くに達する可能性もありました。現在、世界中で約7000万人が感染し、160万人が死亡していると発表されています。
新型コロナウイルス感染症は、風邪のように毎年やってくる「季節性の病気」になるかもしれない
(出典:2020年4月28日 WIRED)
専門家の予測は、ウイルス感染を評価する数学モデルに基づいていますが、予測の根拠は新型コロナウイルスがインフルエンザのように毎年季節的に蔓延を繰り返す流行性感冒になるというものです。
要するに、毎年寒い季節になると出てくるインフルエンザや風邪のように、新型コロナがその一つとして加わるということです。実際に、新型コロナの毒性は弱く、インフルエンザと同様に感染しても症状が出ないか、鼻カゼ程度の症状で終わる可能性もあります。
来年2021年の傾向と予測として、感染力は強まっているものの、弱毒化して致死率が急速に低下している現在の状況は、予測と一致しているように思います。ここから、来年の状況と傾向を予測することができます。
まず、流行性感冒化して感染拡大の波を繰り返すものと考えられます。また、人類の半数以上が感染しても弱毒化しているため、致死率は1%以下で推移しますが、国や地域によっては都市封鎖(ロックダウン)を実施するはずです。
米コロナワクチン「当面は私は打たない」 免疫学の第一人者が憂慮する「禁じ手」
(出典:2020年11月18日 毎日新聞)
新型コロナはインフルエンザに近くなり、怖いものではなくなりますが、インフルエンザの数倍の致死率であることを忘れずに引き続き手洗いとうがいなどで感染しないように厳重に注意しなければなりません。
来年もマスクを着用し、適切なソーシャルディスタンスを取り、手のアルコール消毒を徹底すれば経済活動を再開することはできると思います。そして、私たち日本人は先にワクチン接種を受けている欧米人の様子を観察するべきです。
実際に、ワクチン接種の最大の効果は重症化の予防です。ファイザーやモデルナ、アストラゼネカのワクチンではその効果が確認されているようですが、何が組成されているのかわかりません。
ワクチンの接種が拡大する来年春頃、感染率や致死率がさらに低下し、落ち着いた状態になるものと思われます。
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