イスラエル問題で際立つ「日本の無関心」。留学中のヨーロッパで感じること
(出典:2023年11月27日 BUSINESS INSIDER)
そもそも日本で関心が薄かった中東での戦争ですが、パレスチナ人が虐殺されても「対岸の火事」として認識されています。
しかし、世界ではパレスチナを支持し、イスラエルを非難する人々が激しい抗議運動を展開しています。西洋文明や聖書に精通している人であれば、このイスラエル戦争が世界を大きく変えることに気づいているはずです。
先月までイスラエル中部に住んでいた私の友人は、開戦直後に韓国軍の輸送機で北海道に帰国しましたが、残された家族(義理の両親や夫)はイスラエルで日々ショックを感じながら暮らしているとのことです。
すでにイスラエル国内の世論は分断しており、政党同士が意見の食い違いで対立するようになりました。つまり、パレスチナと共存する意思を持つ「穏健派(セファラディ系ユダヤ人)」とパレスチナを支配する主義の「シオニスト(アシュケナージ系ユダヤ人)」に分かれているということです。
北海道警の安倍ヤジ排除問題を追う『ヤジと民主主義』が見せたメディアの矜持
(出典:2023年11月28日 Newsweek)
当然、ネタニヤフ政権はシオニストであり、この約15年で穏健派の立場を弱体化させることに成功してきました。2回の安倍政権と同様、第2次ネタニヤフ政権が発足後にイスラエルは好戦的になってしまったわけです。
賢いはずのイスラエル国民も日本国民のように騙され続け、毎年のように住みにくさを感じていたようです。日本人の多くが「今だけ、金だけ、自分だけ」がモットーになったのは、安倍晋三を筆頭に閣僚や関係各社の価値観を共有するようになったからです。
つまり、上(国会議員)が腐敗すれば下(国民)も腐敗するということです。自分で生き方を決められないいわゆる「ネトウヨ」と呼ばれる日本人は、これからさらにイスラエル人のように自分を見失っていくと思われます。
今、イスラエル国内では、シオニストたちの過激思想に反対する穏健派の人たちが集会を行うと、警察に逮捕・拘束されたり、強制的に解散させられているのが現状です。数年前、札幌駅前で安倍晋三の演説中にヤジを飛ばしただけで排除された事件と同じことが起きています。
アラブとイスラム諸国の首脳ら、西側を非難 ガザの惨状めぐり
(出典:2023年11月17日 BBC)
両国ともに、政権に反対する者は排除されており、言論の自由など保障されていないことがわかります。最近は、シオニズムの表はイスラエルであり、裏が日本であるような印象を強く受けるようになりました。
結局、イスラエルでは「パレスチナ人全員を排除する」、という世論が主流となりつつあり、国民の多くがしぶしぶ同調したような形です。同調圧力は日本人だけの専売特許ではなく、世界中の人々が感じていることです。
しかし、イスラエルと日本以外ではイスラエルを批判しており、世界の流れとは逆行している状態にあります。確かに、イスラエル軍は軍事的にハマスを圧倒していますが、もしかするとハマスが政治的に勝利するかもしれません。
「政治的勝利」とは、周辺のアラブ諸国がハマスの仇討ちに出るということです。イスラエルへの制裁を行わない理由は、「スンニ派」のサウジアラビアが様子をうかがっているからです。イスラエルと戦争になれば、多数の死傷者が出ることは明らかです。
イエメンの親イラン武装組織、紅海で日本郵船の運航船拿捕
(出典:2023年11月20日 Reuters)
一方、「シーア派」のシリアやイラクは大国イランの支援を受けており、各地に点在する武装組織が駐屯する米軍基地を攻撃しています。まだ死者は出ていませんが、100人以上の米軍関係者が負傷した、と報道されています。
また、「フーシ派」のイエメンがイスラエルに宣戦布告し、イスラエルに対して巡航ミサイルによる攻撃が始まりました。先日、紅海で航行中の日本郵船が運行する貨物船が乗っ取られるなど、他国が巻き込まれる事態に発展しています。
紅海には、世界中のコンテナ船が行き来しており、もし通行できなくなれば再び原油や天然ガスが値上がりするなど世界経済に影響が出る可能性があります。私たち日本人ができることは、食料とエネルギーの備蓄であることに変わりはありません。
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