FRB、金融不安止められず 利上げ直後に地銀株急落
 (出典:2023年5月4日 日本経済新聞)
今週、SNSでは「銀行破綻」「金融不安」などがトレンド入りし、世界中の投資家や専門家、そして独立系シンクタンクなどが無料/有料の分析レポートを発行して具体的な内容を伝えています。
当然、分析レポートは英語やフランス語などの外国語で書かれており、英語力、特にリーディング力が低いとその細かなニュアンスは理解できないと思います。グーグル翻訳やDeepLなどで日本語に翻訳する人がいますが、深い意味までは教えてくれないわけです。
日本語で国内外情勢を説明している大企業(保険・証券会社など)のシンクタンクもありますが、世界的に著名なエコノミストを多数抱える海外のシンクタンクには到底及びません。2008年に起きたリーマン・ショック(世界金融危機)以降、情報分析は政治や経済分野に従事する人には必須となりつつあります。
結局、世界で起きたことが後に日本に影響を与えているのが世界情勢であり、コロナ前の2019年までの世界経済は好景気のピークにありました。日本人の多くも、欧米を中心とした「グローバリゼーション」が永遠と続くと思っていましたが、2022年から始まったウクライナ戦争で衰退し始めています。
このような世界情勢に変化を予測できた日本人は皆無であり、ましてや日本語で書かれている情報ソースにしか読まない人には不利な状態です。私たちAtlasは、複数の異なるシンクタンクから分析レポートを定期購読しています。
中国をはじめBRICSで進む“ドル離れ”の動き 真の要因はアメリカにあり 心配される前代未聞の事態
 (出典:2023年4月25日 Yahooニュース)
その結果、これから数年で深刻な金融危機が発生し、次第にロシアや中国を筆頭に、中東、東南アジア、南米、そしてアフリカ諸国が基軸通貨の米ドルを使わなくなることで、アメリカは世界覇権国の座から降りることが確実となりました。
米ドルによる覇権体制の崩壊は2023年に始まり、これから2年ほどかけて複数の通貨の決済量が増えてくると思われます。現在、すでに決済に使われる通貨は多様化しており、例えばロシアと中国の貿易取引には人民元が使われています。
また、ロシア産の原油や天然ガスをインドは自国通貨のルピーで決済しており、サウジアラビアは「米ドル・石油本位制(ペトロダラー)」よりも、「人民元・石油本位制(ペトロユアン)」を重要視するようになりました。
さらに、中国は米ドル不足に陥っているケニアに対して、自国通貨のケニア・シリングでの支払いを受け入れています。欧米諸国がロシアへ経済制裁を課した後、ロシア側についた諸外国が「脱米ドル化」を進めているわけです。
しかし、各国政府が米ドルを完全に捨てたわけではなく、公式に発表していません。しかし、次の「BRICS首脳会議」が開催される予定の8月に、新しい決済通貨が宣言される可能性があります。
「台湾問題で対米追従するな!」 マクロン訪中後の機内取材で
 (出典:2023年4月11日 Yahooニュース)
今年4月に中国を訪問したフランスのマクロン大統領は、EUは「米ドルの治外法権に依存してはならない…」と主張しました。この発言は、アメリカとの従属関係から解放されたいヨーロッパ各国の政治家から歓迎されています。
そのような状況の中、日本ではあまり報道されていませんが、ヨーロッパ中央銀行(ECB)はデジタル通貨(ユーロ)の開発期間が2023年10月までとし、もし本当に導入されることになれば米ドルへの依存が減るのは間違いありません。
ちなみに、BRICSによる「新しい国際決済通貨」というのは、現物の金(ゴールド)や石油、天然ガス、レアメタルなどの鉱山資源、そして小麦粉などの穀物資源の価値に基づくように設定されると言われています。
IMF(国際通貨基金):暗号通貨がドルやユーロ、人民元に取って代わる中、来たる変化には歓迎されるものと、そうでないものがある
 (出典:2022年9月 国際通貨基金)
実際に、中国とロシアを中心に独自のデジタル通貨が開発されており、本格的な導入が検討されています。つまり、各国のGDPや国際貿易のシェア率などの評価基準によって、鉱物や穀物資源の価格インデックスのバスケットにするということです。
現在、中国の「デジタル人民元」が開発レベルで世界を引っ張っていますが、「デジタルユーロ」なども本格的な導入に前向きです。アメリカでは、FRBが「FedNow」という決済サービスを7月に開始する予定です。
デジタル通貨と言えばビットコインなどの仮想通貨をイメージしますが、ブロックチェーンを搭載した仮想通貨と競合するのが各国中央銀行が発行するデジタル通貨(CBDC)となりそうです。
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