私自身、情報リテラシーを指導していて毎回思うことがあります。それは、大企業の支店長や部長に限って政治学や経済学について知らないということです。
当然、金融市場などの相場を全く知らない方が多くいます。だから、さらにレベルの高い「国際的な資金循環(グローバル・マクロ)」に至ってはついてこれない方がほとんど、というのが現状となっています。
実は、私の友人もそうですが、上場企業(日経、ジャスダック市場など)の経営者というのは、役員と一体何を話しているのかと言えば、仕事の案件の話以外に自社の株価については何も分析していないことに驚きます。
自社の株価チャートを9時頃と15時頃の1日2回見るだけで、話していることと言えば、せいぜい「上昇した」「下落した」「誰が株を買ったの?」というようなことしかないわけです。それよりももっと重要な話はあるはずです。
株式を上場するほどの企業経営者が、世界情勢やトランプ大統領について調べることもなく、国内についても日銀や財務省からの公表には目もくれていない様子です。こうなると来月、来年、5年後、10年後など何も考えていないこともわかります。
これが日本を代表する上場企業経営者の本当の姿であり、ただ単に業績データやレポートを見るだけでよく社長業が勤まるのか、不思議な感じがします。別にブルームバーグやロイターの記事を英語で読みこまなくても、日本経済新聞くらいは読んで欲しいものです。
一方、日本を代表するマスメディアであるNHKのドキュメンタリーは以前よりも劣化しているように思います。テレビ東京は、日本経済新聞が実質的なオーナーになってからというもの、ビジネスマン向けの番組を増やし、NHKよりも鋭く描写しているように思います。
今、起きているスルガ銀行の放漫経営やレオパレスの手抜き工事などの特集は、以前ならNHKが取材していましたが、現在はテレビ東京の仕事になりつつあります。それでも、マスメディアであることは変わりはなく、報道を全て信じることがないように注意することも必要です。
実際に、最近の地上波番組ではビジネス特集であっても参考になる番組が増えていますが、全てが現地に住んでいる記者が集めた情報というわけでもないため、その裏側にあることを自分で分析することが求められているように思うわけです。
このように、意外に経済全般と市場動向を知らないのが、大企業であってもサラリーマン社長でしかない経営者にありがちなことであるということです。だから、日本経済が以下のようなことになったと言えます。
景気判断6年ぶりに「悪化」、一致指数、外需が低調
ついに内閣府は、6年2か月ぶりに景気判断を「悪化」、つまり景気後退局面に突入したことを認め、「アベノミクス」という幻想にはもう縋り付くことができなくなったということです。
大企業の大幅減益も連日報道されており、自動車メーカーの日産が純利益を前年比で57%減益を発表、その一方、30兆円を超える売上高を記録したトヨタ自動車ですら豊田章男社長は「終身雇用を守っていくのは難しい局面に入ってきた」と景気の先行きへの強い危機感を表明しています。
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