北京で今月デジタル人民元使用実験冬季五輪に向け環境整備
(出典:2021年6月3日 AFP BB News)
来年2月に開催予定の北京冬季オリンピックで、いよいよ「デジタル人民元」が導入される可能性が高まっています。
中国の習近平政権は、整備を急いでいる「大湾岸圏計画」で本格的に導入される計画ということで、南部の広東省や香港、そしてマカオのグレーター・ベイエリアは、大きく生まれ変わろうとしているわけです。
2019年3月以降、香港では抗議運動が始まりましたが、内閣にあたる国務院は地域開発プロジェクトを発表していました。香港とマカオ特別行政区と、広東省にある9つの大都市の経済的統合を実現し、ITや金融、貿易などそれぞれの都市が持つ強みを生かそうとしています。
そして、世界的な競争力を備えた一大経済圏を構築するというこの計画は、習近平政権が推し進める「一帯一路」構想に、香港とマカオも統合されることになりました。広東省には、広州市や深セン市などのIT産業都市があります。
世界レベルに成長する中国の「大湾岸圏」 HSBCレポート
(出典:2018年2月5日 Quick Money World)
グレーター・ベイエリア(大湾区)の人口は約7000万人で、日本の首都圏と関西圏の人口よりも多くなっています。この計画によって、中国で最も活気に満ちた経済産業・金融都市になることが期待されています。
例えば、アメリカ西海岸のサンフランシスコ・ベイエリアにも「シリコンバレー」というIT産業の中心地がありますが、それにニューヨークの「ウォール街」のような金融センターとしての機能を組み込んだようなものです。
最終的に完成するのは2035年ですが、2022年までに最初の開発計画が終わる予定です。すでに、計画を具体化するガイドラインを中国共産党中央委員会が発表しています。ガイドラインでは、深セン市を中核都市として発展させる予定と記載されています。
深セン市は、ITや金融を中心に観光、スポーツなど幅広い分野で発展しており、社会主義のモデル都市として存在しています。生活水準も高く、信用スコアという監視社会システムが運用されています。
習氏の発展構想 深センは香港にはなれぬ
(出典:2020年10月24日 東京新聞)
このガイドラインで分かったことは、香港は2025年に「一国二制度」が消滅する可能性があるということです。ちなみに、中核都市の深センは、香港と同じ「特別行政区」になる予定です。つまり、香港とは別に深センが外国とのゲートウェイになる可能性があります。
そして、来年2月に開催予定の北京冬季オリンピックをきっかけに、世界初のブロックチェーンを使った暗号通貨「デジタル人民元」が導入される可能性があります。
中国政府は、上場企業や投資家への金融規制を強めており、欧米諸国や日本の金融市場ほど自由ではありません。今後、株や債権などの金融取引で「デジタル人民元」が解禁されるかどうかはわかりません。
だからこそ、まず最初にグレーター・ベイエリアでデジタル人民元を一般的な流通手段として使われることになるということです。結局、「中国バブルが崩壊する…」などと発言してきた日本の経済評論家たちはどのように責任を取るつもりでしょうか?
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