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国家が衰退するフラクタル構造パターンA「現代アメリカの場合」


1930年代を連想させる世界的な通貨安競争
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(出典:2019年8月10日 Yahooニュース)


前回(1月31日peters.jp掲載 国家が衰退するフラクタル構造パターン@ 「ローマ帝国の場合」)、古代ローマ帝国時代の栄枯盛衰パターンについて指摘しましたが、近代以前に存在したようなパターンとサイクルが、金融・工業国家である現代のアメリカにも適用できるかどうかについても考えていきたいと思います。


まず、1783年のアメリカ独立戦争後、アメリカがイギリスから完全に独立してからの1800年から2020年まで200年間に、抗議運動やテロ事件、そして暴動が発生したパターンに注目していきます。


アメリカでは、農業国から近代的な工業国に移行した1900年頃から第二次世界大戦終了まで、約50年ほどの社会的に不安定な時期があったのは明らかです。特に、1929年に起きた「ウォール街大暴落から世界大恐慌」に発展したことは日本人なら誰でも知っているはずです。


アメリカで暴動が多かった年代を3つに区分すると、まず1870年代と1930年代、そして1970年代になります。ハリウッド映画で映画化された作品も数多くありますが、私たちがよく知っているのがベトナム戦争反戦デモなどの国内分裂です。


映画『デトロイト』が「白人視点で黒人を描く」ことの問題点
2018年2月7日 Yahooニュースへのリンク画像です。

(出典:2018年2月7日 Yahooニュース)


近代の工業国家というのは、第二次世界大戦までの農業主体の時代と比べて、経済成長のスピードが極端に速く、人口の増加とそれによって発生する労働賃金の低下や生活水準の低下、そして政治家や官僚、大企業の幹部のポストの不足などに対してある程度は対応できるようにはなっているのが現状です。


実際に、これらの要因が深刻な社会的不安定性の主な原因になっているとは思いませんが、アメリカや日本のような近代工業国家でも少なからず作用しているのは明らかで、社会的不安定性の背景となっていないとははっきり言えません。


例えば、中東諸国で次々と発生した「アラブの春」のようなクーデター事件は、社会的不安性の象徴のような現象であったように思います。エジプトは年5%以上の経済成長率を毎年維持していましたが、決して経済的に停滞してはいないわけです。


ところが、一人当たりの出生率自体は先進国と比べると2.8人以上と高く、また生活水準の上昇に伴って高等教育を受ける若者の人口が大きく増えたため、経済成長によって雇用が増えたことで高等教育を受けた若者の増加スピードに追いついていません。


その結果、高い教育を受けた若年層の高い失業率が慢性化し、これがアラブの春という政治的な抗議運動を引き起こす直接的な背景になったと言われています。


イランを中心に“第2のアラブの春”が起きている理由
2020年1月14日 @niftyニュースへのリンク画像です。

(出典:2020年1月14日 @niftyニュース)


一方、日本でも8年続いている安倍政権は、これまで森友・加計学園問題で疑われている安倍首相本人や閣僚、自民党の国会議員、官僚、そして関係を持つ大企業経営者・幹部たちの多くがIR(カジノ施設誘致)での贈賄罪で事情聴取、あるいは逮捕されています。


その間、消費税は5%から10%に上げられ、年金や国民健康保険の負担分が毎年のように増えているのが現状です。しかし、日本では誰も暴動を起こそうとはせず、数百〜数千人の静かなデモが週末に行われているだけです。


話をアメリカに戻しますが、同じ時代のサイクルに生きる全ての国家でもほぼ同じような現象として、社会的不安定性の80周期サイクルが当てはまるように思います。


いくら人口が3億人を超え、高学歴者が増えたとしても、高い経済成長が続き、生活水準の上昇や高学歴者の雇用数が増え続ける限り、社会が安定する中で、暴動はなかなか起きないものです。現代では、どんな人であっても努力さえすれば社会階層の階段を登ることができるはずです。


しかし、経済的格差が固定化してくると、政治や経済のシステムが一部の特権階級だけに独占された状況では、経済が成長し続けたとしても社会階層の階段を登ることは保証されないわけです。


実際に、日本でもいわゆる「上級国民」「下級国民」と呼ばれるように、経済格差が開く一方で社会階層が固定化されつつあります。もはや大学院などで修士号や博士号を取得したところで、自分が期待した仕事は得られない現状があります。


いよいよ、このような状況がピークに達すると、欧米諸国や中国、中東などでは社会的暴力が頻発するようになり、「革命」という名の抗議運動や暴動が発生するわけです。そして、日本では静かに政治家や役人、大企業幹部が消滅するような「維新」が起こることになります。

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