大都市圏から地方への移住を考えている方へ③　「手土産持参で近隣住民から情報を聞き出す」

前回の続きですが、どんなに嫌いな上司や同僚であっても「お土産」を配ることで印象が大きく変わることがあります。

結局、モノをくれる人というのは「良い人」になるということです。旅行から返ってくるたびに手土産を職場の人たちに配る自体、私たちの想像以上に人間関係の潤滑油の役目を話しているわけです。

私自身、このコラムでノウハウを勧める前に、必ず自分で検証するようにしています。実際に、テナントビルの管理会社やマーケットチームのメンバーたちが集まる時は、スーパーで購入した個別包装のクッキーの詰め合わせを１個ずつ配り歩きました。

机に座って画面と対峙している社員の脇にお菓子を置き、挨拶をするだけです。長々と話をする必要はなく、お菓子を置くだけで皆、笑顔になって「ありがとうございます」と言ってくれます。

月に1回程度、それを繰り返していると皆も期待するようになり、笑顔で迎えてくれるようになるというわけです。結局、「お土産＝賄賂」というのは、受け取ってしまうと自動的に敵対心を捨てるようになるということです。

例えば、仕事でミスをしても同僚や上司は大して気にせずに終わることが多いと思います。ところが、お菓子を配らない同僚がミスをするとそれが大げさな話になり、周りから責められることがあります。

この差は意外に大きく、あまりにも分かりやすい関係と言えます。日頃から小さなお土産を貰ってしまっているからこそ、ミスをしても多めに見るようになっています。くだらない話ですが、人間なんてそんなものなのです。

特に、初対面の人や引っ越し先のコミュニティーに入る必要がある場合、お土産は効果を発揮します。だから、辞任した安倍首相を筆頭に自民党議員のほとんどが、地方議員やその関係者たちに賄賂を贈っているわけです。

田舎に移住する際に、まずその物件を見に行ったら必ず両隣の家を訪ね、こちらから声をかけて挨拶します。その時には個別包装された手土産をその場で手渡します。実は、いつでも配れるように車のトランクにお土産を入れている営業マンもいるほどです。

人間というのは興味深いことに、挨拶してきた新顔には必要のないことまで話してくれる傾向があります。近所の人たちの話や会社の社員の個人情報など、誰も言わない問題も含め本当の情報が手に入ることがあります。

引っ越し先で知りたいこととして、川の氾濫など過去の災害についても聞き出すことができるかもしれません。また、田舎によくある話としてクマやシカの出没状況について聞くべきです。その時、隣人同士のトラブルについても何となく聞き出してみます。

その他、土地の権利関係の話や道路が市道なのか、それとも私道なのか、将来的な工事計画についても聞きたいところです。このように、手土産を持参して聞き取ることで近隣住民と話すことができます。

最初の印象で、自分が決して怪しい者ではなく、むしろ相手に好感度が高いと認識してもらうことで、引っ越した時に良好な近所付き合いを始めることができます。しかし、近隣住民と話をしないまま引っ越ししてくると隣人トラブルのリスクが高くなります。

だからこそ、将来の隣人の性格や性質を感じ取りながら、本当にこの場所が良いのかを慎重に決めることです。マンションや中古住宅、新築もそうですが、新たに家を購入する際に最も重要なことは近隣に住む人たちのことです。物件自体が良くても、近隣住民とのトラブルが毎日のように続くころになれば最悪です。

家を購入する前、必ず地元の図書館や役所を訪れ、その場所の犯罪や災害の歴史を調べてみることです。公共施設の利用は利用料が一切かからないですが、意外な情報を得ることができるかもしれません。

不動産屋が本当のことを言わないうちは、引っ越し先についての詳しいことは自分自身で調べる必要があります。物件や土地がきれいにリフォーム・整地されているといっても、何か裏があると思って情報を集めることです。

なぜかと言えば、業者が貸主・売主と相談し、不都合な真実を隠すためにわざときれいにしている可能性があるからです。私たちのような素人は、外側だけきれいにリフォームされているだけで良い物件と錯覚してしまうほど何も知らないのが現状です。

大都市圏から地方への移住を考えている方へ③「手土産持参で近隣住民から情報を聞き出す」