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実は効いていない「ロシア制裁」...その巨大な「抜け穴」とは？元米財務長官が指摘
(出典：2022年4月12日 Yahooニュース）
2008年に起きた世界同時金融危機、つまり「リーマンショック」は破綻したサブプライム・ローンが混入した「CDO（債務担保証券）」という金融商品を多くの欧米の金融機関が保有していたことが原因でした。
CDOが破綻したことで、多くの金融機関は莫大な不良債権を抱えることになった結果、銀行はお互いに疑心暗鬼となり、銀行間で資金を融通しあう銀行間取引のネットワークが動かなくなったわけです。
だから、大手投資銀行のリーマンブラザーズをはじめ、多くの銀行が資金繰りに困って経営破綻しました。また、破綻を免れた銀行もありましたが、資本を守る必要からカネを貸していた企業に貸しはがしや貸し渋りを行いました。
今回、ロシアの通貨ルーブルは対ドル相場でウクライナ侵攻前に戻し、欧米メディアが報道していたようなロシア国債のデフォルト（債務不履行）は、起きていません。ちなみに、アメリカの銀行は約150億ドルのロシア国債を保有しているだけで影響はほとんどなかったと言えます。
プーチン氏の脅し 西側の制裁が「飢餓を引き起こす」
(出典：2022年4月17日 TBS NEWS）
一方、ヨーロッパ諸国が保有するロシア国債は約900億ユーロで、銀行の保有資産の0.3％に過ぎないとのことです。また、ヨーロッパの保険や年金分野のロシア国債の保有率はたったの0.1％です。
ロシアが世界経済に直接的な影響は及ぼすことはなく、それよりも欧米で起きているインフレ率の上昇のほうが深刻です。しかし、実はロシア国内の金融機関が保有する国債が不良債権化し、これが原因となって金融危機が起きる可能性はあります。
あくまでロシア国内で起きる金融危機の話ですが、ロシアやウクライナは大穀倉地帯であるために小麦などの収穫量が少ない場合、農家や関連企業の連鎖倒産が起こって世界的な食糧危機になり、甚大な影響を及ぼす可能性が指摘されています。
《危ない円安》中東 食・モノ・カネ不足が招く「社会崩壊」の危機
(出典：2022年4月18日 週刊エコノミストOnline by 毎日新聞）
リーマンショック直後の2009年に、オーストラリアで起こったことがロシアでも起きるということです。金融危機に陥ったオーストラリアでは、銀行が企業に対して貸しはがしや貸し渋りを行ったため、融資が受けられなかった小麦農家が資金繰りに困って経営破綻しました。
今年は、気候変動で小麦の収穫量をさらに減少させる可能性があります。また、アメリカやカナダなどの農業・畜産大国でも起こりえることです。逆に、銀行の融資に依存する必要性がない天然ガスや石油、アルミニウム、パラジウムなどの市場では金融危機は起こりにくいかもしれません。
いずれにしても、ロシアへの経済制裁が背景となり、世界有数の供給国である小麦などの価格は高騰し続けて、私たち庶民には手が出せないほどの値段で店頭に並ぶことになります。
だからこそ、ウクライナ戦争が一時的に停戦し、インフレに耐え切れなくなった欧米諸国が経済制裁を解除する必要があります。アメリカとイギリスを中心とした、ロシアへの経済制裁によるインフレ率の上昇は意図的に計画されたものです。
なぜかと言えば、ロシア国内のサプライチェーンは機能しているからです。とにかく、ロシアやウクライナの生産農家を守り、ようやく雪が解けた4月から作付けを始めてほしいと願うばかりです。特に、ウクライナの一部地域では復興するのは時間がかかります。
いよいよ始まった本格的なインフレの動きは、欧米による経済制裁だけではなく、ロシア国内の金融危機による価格の上昇も気になるところです。
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