トヨタ「ライバルはもうホンダではない」の真意
大企業であっても中小企業であったとしても、企業の運命というのは、経営者が信念を持つかどうかで決まってきます。
企業経営に限らず、政治や音楽イベントなどでも、リーダーの信念に人々は集まってくるわけです。しかし、リーダーに信念がなければ、人々の集合的意識が集まらず、離散して組織は没落していくことになります。
今その典型が日本の自動車産業に見られています。信念をなくした組織が日産、ホンダ、そして三菱自動車です。そして信念を守っている組織が、トヨタ、マツダ、スバル、そしてスズキ自動車であるのは明らかです。
そしてこの信念集団をトヨタ自動車という巨大な資本力が支えている現状があります。今、トヨタ自動車の豊田章男社長は、自動車産業のみならず日本の製造業そのものを守っているように思います。
私は、性能の割に価格が高いトヨタ車には乗ったことはありませんが、トヨタが支援しているマツダやスバル、スズキ自動車に興味があります。
例えば、技術力に全てを賭けるという経営理念があれば、金融危機が起こっても生き残れる可能性がありますが、日産自動車のように経営陣がお互いに権力闘争をすればすぐにでも倒産してしまいます。
日産は、元会長のカルロス・ゴーンを追い出しましたが、クルマ作りに迷っているように思います。せっかく「e-power」という最新技術を世に出すことに成功しましたが、その優秀な技術者たちを支えきれていないのは明らかです。
一方、ホンダ自動車は優秀な人材がロボット部門と航空機部門に引き抜かれてしまい、クルマ自体が面白みのないモノになりつつあります。結局、スーパーかコンビニへ買い物に行くためのクルマばかりになってしまっています。
日産もホンダも技術力が消えつつあることに経営陣が気づいていないことから、この大手2社はこれから起こる世界恐慌の中で没落し、消滅していくように思います。
英会話スクールであっても同じことが言えそうです。いわゆる大手と呼ばれるイーオン(KDDI)やGaba(ニチイ学館)、NOVAなど、単に英会話のレッスンを提供しているだけの企業が生き残れるとは考えられません。
手段でしかない「語学」ではなく、目的を達成するためには国語(日本語)力と「情報リテラシー力」が必要であることは明らかです。そうしなければ、「今、本当に起きている」のかがわからないままです。
つまり、前へ進むことができる組織だけが生き残れるという、人類特有の現象である不況時には「知」による激しい生存競争が始まるということです。歴史的には、何度も戦争によって文明を刷新してきたことからもわかるはずです。
ただし、北朝鮮のような小国であっても核ミサイルを保有している今、第1、第2次世界大戦のような大規模な戦争ではなく、グローバルな企業間の競争によって刷新が行われることになります。
アメリカは、宇宙技術を使って新しい産業を生もうとしています。日本は、「知」の中心であるトヨタとそれを支える組織全体が石油(ガソリン)の呪縛から逃れるために全身全霊で開発を進めています。
いよいよ、これから「知」を戦いの場とした民族的に生き残れるかどうかの競争が行われようとしています。
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