トヨタ、複数の自動運転EVを同時運行 東京五輪へ初披露
(出典:2020年12月22日 日本経済新聞)
静岡県にある東富士工場が12月10日に生産を終了し、この敷地に「トヨタ自動車」が自動運転や人工知能の実証実験を行う「ウーブン・シティ」が来年2月に着工する予定です。しかし、私はこの計画は失敗すると考えています。
なぜかと言えば、豊田章男社長が菅首相の「脱ガソリン車宣言」に反対しているからです。ほとんどの日本人は、この重要性を分かっていないように思います。つまり、豊田社長はすでにトヨタのビジネスモデルが世界で通用しないことに気づいています。
もっと具体的に言うと、二酸化炭素削減などの環境問題というよりは、車を販売する商売がもうできなくなることを自覚しているということです。世界トップの自動車メーカーでさえ、テスラや巨大IT企業のグーグル、そしてアップルには勝てないわけです。
未来のクルマはEVかハイブリッドか、車各社に命運分ける決断迫る
(出典:2020年12月8日 Bloomberg)
トヨタの幹部たちは、これまで相当悩んできたと思いますが、いくら未来を予測してもどうにもならないことがわかってきたはずです。トヨタとパナソニックの合併企業である「プライムプラネットエナジー&ソリューション(PPES)」も、解散まで時間の問題となりました。
実際に、パナソニックのソーラー技術は東芝より劣っていましたが、「スバル」と共同開発した電気自動車(EV)をようやく発売にこぎつけることができました。明らかにトヨタは、最近のスバル人気を利用しているように思います。
合弁企業を設立したばかりですが、トヨタ社長が菅首相の脱ガソリン車宣言に反対することは完全に矛盾しています。本当はEVやFCV(水素自動車)ではなく、ガソリンで走るスポーツカーを生産したいのではないでしょうか?
最近、昭和の時代に日本で生産されたホンダシビックや、日産のスカイライン、フェアレディZのクラシックカーに人気が集まっています。名車の中古車を安く仕入れ、自動車整備工場でレストアして販売しているのを見かけるようになりました。
しかし、日本の自動車メーカーは新車を売ることしか頭にないようです。要するに、トヨタやホンダ、日産などは「大企業病」にかかってしまっているということです。しかも、自動運転や人工知能の開発は欧米の自動車メーカーからかなり遅れを取っています。
激売れもなぜ姉妹車SUVで明暗?「ライズ」と「ロッキー」 要因はSUVラインナップ?
(出典:2020年12月22日 くるまのニュース)
特に、トヨタはスバルやマツダ、ダイハツ、そして日野と提携し、軽自動車とトラック部門の市場と技術を手に入れています。スズキは、後継者育成に失敗したことで創業者で80代の鈴木会長が未だにトップにいます。
鈴木会長は、日本の自動車産業に未来がないことを知っており、インドなど新興国に小型ガソリン車を販売することで何とか凌いでいる状態です。だから、トヨタの傘下に入ることを模索しているわけです。
近い将来、スズキやダイハツの軽自動車が、トヨタのディーラーでそのまま販売されることになるかもしれません。実際に、トヨタのディーラーでは他メーカーのパンフレットが置いてあり、購入することが可能です。
なぜトヨタはダイハツを傘下に入れたのかと言えば、ある程度の軽自動車のシェアを得たかったからです。要するに、トヨタが他メーカーに資金を投資したり、買収する理由は、技術力ではなく市場シェアだけということです。
また、スバルやマツダに独自で開発をさせ、トヨタは無責任にもその技術力を評価しているようにも見えます。トヨタの技術力のほうが高いことが揺るがない限り、全くリスクをかけずに子会社や下請けに全てを押し付けるというのが現状です。
国内でそのような殿様商売をしているから、トヨタはドイツ勢やアメリカのテスラ、グーグル、アップルなどから追い詰められているわけです。EVではBMWやテスラに追い越され、自動運転や人工知能は巨大IT企業に大きく水をあけられています。
将来も安泰であると言われていたトヨタ王国ですが、これまで「自己責任」として他メーカーに押し付けてきた戦略が限界を迎え、ブーメランのように自分に返ってきてしまっています。
日野自動車、北米でトラック生産停止に 米の認可下りず
(出典:2020年12月23日 朝日新聞)
最後に、日野自動車は23日、トラックのエンジンに必要なアメリカ政府の認可が下りなかったため、アメリカ・カナダ国内での販売が事実上できなくなっています。近いうちに、アメリカはトヨタの工場も停止に追い込むはずです。
日本人にとって、第二の敗戦が近づいてきました。1945年は満州にいた日本人が着の身着のまま、船に乗って日本に逃げてきました。過去、何度も大戦を引き起こしてきた「経済のブロック化」が起き始めています。
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