国内企業物価3月は前年比+9.5%、商品高の影響続く ウクライナ情勢も反映
(出典:2022年4月12日 Reuters)
ロシア軍がウクライナに侵攻したことをきっかけに、世界各国でインフレ率がさらに上昇しています。欧米諸国ほどではないものの、日本でも物価高が始まりました。
ガソリン価格の高騰は2020年から起きていましたが、最近は食料品の価格が高騰し始めています。2021年後半に一部の食料品が値上げされましたが、今年2022年4月1日からもさらに多くの食料品が値上げされました。
総務省の2015 年を100とする消費者物価指数によると、2022年2月は100.7と前年同月比で0.8%も上昇したと発表されています。特に、天然ガスや石油は27.5%、小麦などの穀物を中心とした食料は3%も上がりました。
また、物価をさらに押し上げているのは円安に伴う輸入品の値上がりです。日銀が公表した輸入物価指数では、2月に円ベースで前年同月より33.4%も上昇しています。円安トレンドは当分の間続くと思われており、輸入物価指数の上昇は今後も続く可能性が高いと思われます。
日本の物価高の大きな原因になっているのは、ロシア軍がウクライナに侵攻してから岸田政権が外交的にロシアを敵視しているからです。ロシアは世界最大の天然ガスの輸出国であり、原油の輸出はサウジアラビアに続き世界第2位の資源大国です。
ロシア産ガス、4月からルーブル払い必要に仏独は供給停止に備え
(出典:2022年4月1日 AFP BB News)
欧米諸国は、ロシアを悪者扱いしておきながら天然ガスの輸出決済を仲介しているガスプロム銀行に対して、国際貿易に使われる送金システムであるSWIFTから排除していないわけです。だから、ロシアは天然ガスをユーロではなく、ルーブルで払うように求めました。
ところが、欧米諸国(日本も含む)はこれに反発しています。特に、欧州諸国はロシアの天然ガスや原油の依存率が高く、輸出が途絶える可能性が出てきたことで配給制になりつつあります。
コロナ騒ぎによって急激に需要が増えたことで、急激に経済が回復したのと同時にガソリンや灯油価格が上昇させる原因を作ったのはバイデン政権であり、意図的に世界経済を破壊しているのは明らかです。
さらに、ロシアは自動車部品やコンピューターに使われるレアアースやパラジウムの世界最大の供給国であり、ウクライナも半導体製造のためのレーザーに使われるネオンガスの世界的な生産国です。
ロシアの製造業メーカーは、SWIFTから排除されてドルでの決済ができなくなったため、世界的に供給が不安定になって価格が高騰しているのが現状です。ロシアへの経済制裁は解除されないまま、ロシア政府はデジタル通貨のルーブルを発行しようと模索しています。
制裁強まるロシアに戦争資金枯渇を阻む“奥の手”がデフォルト危機もルーブル安定のナゼ
(出典:2022年4月9日 Yahooニュース)
そして、金(ゴールド)や原油、天然ガスなどを担保にした「金・資源本位制」を構築し始め、西側に依存しない経済システムを中国やイラン、そしてサウジアラビアなどの資源国と協力しようと動いています。
そのため西側諸国では、ガソリンや灯油価格以上に小麦などの穀物価格が上昇してきました。小麦価格はウクライナ侵攻前から上昇していましたが、コロナの影響で農業従事者が減っただけではなく、運搬するトラック運転手も不足したことでサプライチェーンが寸断されたわけです。
2022年4月の小麦価格は、1年前の2021年4月と比べて約40%、2020年10月と比べると約47%も上昇しています。しかも、大穀倉地帯があるウクライナで作付けできない状況が続けば、小麦価格はさらに上昇すると予測されています。
ウクライナやロシア産の小麦は、パンや麺類、菓子類だけではなく、醤油や味噌、そして飲料水の原材料など幅広く使われています。小麦価格の高騰は、あらゆる種類の食品に幅広い影響を与えるため、気温が低下する冬に暖房として使う天然ガス以上に深刻です。
ロシア、いよいよデフォルトへカウントダウン 想定されるシナリオまとめ
(出典:2022年4月11日 Newsweek)
ロシアはデフォルトに陥らない、経済は来年回復と経済発展次官−報道
(出典:2022年4月11日 Yahooニュース)
今年秋頃には、小麦や野菜などの農産物の生産量に影響を与える可能性は高く、日本にも食料危機がやってくるのは時間の問題です。欧米メディアが報道しているような、ロシアがデフォルト(債務不履行)することはまずあり得ないことです。
なぜかと言えば、ロシアは債務国でも債権国でもないからです。日本と異なり、政府の借金は少なく、国債の発行残高も低いので国債の利払いや償還で問題は起きていません。もしデフォルトしたとしても、世界経済に与える影響は限定的です。
ロシアの財政は健全そのもので、国債の発行残高も少ないので凍結されている海外の金融機関が保有しているロシア国債の金額や預金額も少ないので影響はほとんどないということです。
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