緊急経済対策、赤字国債を検討 補正予算財源、借金さらに増加
(出典:2020年3月21日 Yahooニュース)
今回のメインテーマは、新型コロナウイルスの経済に与える影響の試算についてです。すでに各マスメディアでも言及されていますが、Atlasでは内容をさらに詳しく分析しています。
経済の影響は、感染拡大の状況とは全く異なっています。ニューヨーク・ダウ平均株価は、過去最大となる暴落・暴騰を記録し、一日の下げ・上げ幅としては世界大恐慌の引き金となった1929年のブラック・サースデー、1987年のブラックマンデー、そして2008年のリーマンショックを上回っています。
日銀、ETF購入を12兆円に倍増 利下げは見送り
(出典:2020年3月16日 日本経済新聞)
また、日経平均株価も大幅に下落し、今年1月からの下げ幅は6000円前後になり、ついに3月16日は1万6000円台を割ってしまいました。取引時間中としては2018年12月以来となります。
新型コロナウイルスの感染爆発に起因した経済の悪化を、世界各国の株式市場は不安視しており、これからも不安定な相場が継続すると思われます。今、株式市場が経済悪化のスピードにパニックを起こして状態です。
日本では、サービス業をはじめ、あらゆる分野の産業が実質的に停止したかのような状態にあります。これからどうなるのか先は見えてきませんが、このような時こそ、今後どうなるのかについて少しでも見通しを立てるための材料が求められます。
そのような状況の中、Atlasは日本のシンクタンクとして世界的に著名なリベラル系シンクタンクの「ブルッキングス研究所」のレポートを手に入れ、新型コロナウイルスの世界経済に与える中長期的な影響を予測することにしました。
レポートのタイトルは、「COVID-19が世界のマクロ経済へ与えるインパクト」です。内容に関しては日本のメディアでも一部紹介されいますが、内容を詳しく要約したいと思います。日本を含めた世界経済の未来についてです。
The Global Macroeconomic Impacts of COVID-19:Seven Scenarios
(出典:2020年3月2日 Brookings Institution)
「ブルッキングス研究所」は、20世紀初期に「政府活動研究所」としてアメリカで創立されました。リベラル系のシンクタンクとして長い伝統と実績を残しており、特に民主党政権には政策的な影響を与えています。
今回、予測レポートをマッキビン氏というシニアフェローのエコノミスト(経済学者)が執筆しています。これから起こる得る7つのシナリオを提示し、新型コロナウイルスの経済的な影響を予測しています。
尚、レポートの予測は2003年のSARSや1920年のスペイン風邪などの世界的感染を中心に、これまでの歴史で発生した時のデータを解析し、それぞれの経済的な影響を分析するという方法に基づいています。
基本的に、SARSウイルスや新型コロナウイルスが中国を感染源とした感染症ということで、中国政府の対応を基準としています。また、それぞれの国が中国よりも対応力があるのかによって、新型コロナウイルスの影響力の大きさの度合いを査定しています。
ケースの異なる7つのシナリオを提示し、それぞれのシナリオで各国経済の影響を予測していますが、すでに感染は中国だけではなく、世界各国へパンデミックとなっており、今回限りなのか、それとも流行性感冒になり、毎年世界的な感染を繰り返すケールによって変わってきます。
それらのシナリオの違いは感染力の強さであり、それぞれ感染率や致死率が変わってきます。、レポートでは23か国の予測値が列挙されていますが、シナリオ別の予測を日本や中国、アメリカので見ることにします。
世界の感染者15万人に各国で国境管理厳格化や非常事態宣言
(出典:2020年3月16日 NHK NEWS WEB)
シナリオでは、中国の感染率10%、致死率2%の場合、中国は約280万人、アメリカは約24万人、そして日本は約13万人となっています。中国政府の発表では、中国国内の感染者数は8万人とありますが、少なくてもこの10倍〜100倍はいるものと考えられます。
公式発表の100倍の場合、中国の感染率20%、致死率2.5%の場合、中国は約700万人、アメリカは約60万人、そして日本は約32万人です。現在は、このあたりのフェーズにいるものと思われます。
今後、さらに感染が進み中国の感染率が30%、致死率3%の場合、中国は約1250万人、アメリカは約100万人、そして日本は57万人と予測されています。当然、感染していても症状がない人がほとんどです。
日本の総人口は1億2600万人程度ということで、もし57万人が死亡するとすれば、総人口の0.04%が新型コロナウイルスの感染で死亡することになります。ちなみに、2019年度のガンで死亡した数は約38万人なので、これを上回ることになります。
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