アメリカはなぜ台湾を支援するのか――背後に米中ハイテク競争
(出典:2021年4月25日 Yahooニュース)
トランプ政権時代に始まった「米中ハイテク戦争」は、中国に軍配が上がりつつあります。なぜかと言えば、勝敗を決めるのは空母や核兵器ではなく、高性能の半導体を活用したAI(人工知能)分野での優位性にあるからです。
今年10月、アメリカ国防総省のサイバーセキュリティ部門の最高責任者「ニコラ・シャイアン」が辞任した。米軍によるAI技術開発のペースが遅いことへの抗議と、アメリカが中国に追い越されたことの責任を取ったわけです。
シャイアンは、中国がメディアから地政学リスクまであらゆるものを支配し、世界の未来を支配するようになると主張しています。また、アメリカのサイバー防衛力は中国のサイバー攻撃に対応できないと語っています。
中国がAIの軍事利用で米国をリードか?
(出典:2021年10月26日 アクシオン)
また、中国が世界的な支配を可能としているのはAIやサイバー能力が世界一のレベルにあり、このような新しい技術は使えないF-35戦闘機のような巨額の予算をかけたハードウェアより、ソフトウェアのほうが重要であると主張しています。
おそらく、2035年のアメリカはあらゆる分野で中国に完全に追い越され、中国がユーラシア大陸の覇権国になるのは間違いありません。問題は、中国共産党支配ではなく、全く別の政権運営で発展する必要があることです。
アメリカは、軍産複合体が政府予算を分捕っており、金儲けのために衰退しています。10年に1回のペースで世界のどこかで戦争を仕掛けるという「戦争経済」によって、アメリカ経済は何とか回っていたわけです。
国防総省のサイバーセキュリティ最高責任者の発言は大きな反響を呼び、中国の最先端技術がすでにアメリカを上回っていたことがわかりました。そもそも、中国は共産国家であるため、情報が検閲されて報道されることがほとんどで、本当のことは各部門のトップにしかわからないということです。
中国人留学生は「知的財産の収集人」の危険な実態
(出典:2021年8月18日 東洋経済ONLINE)
現在、最先端技術はAIや5G、量子コンピューター、半導体、医薬・農薬技術、そして再生可能エネルギーの6つの分野に分けられています。そして、それを評価しているのがITや外交政策、軍事技術の世界的な専門家たちです。
アップルやIBMなどに所属していた元顧問弁護士であったり、現在はシンクタンクを設立してアメリカ政府の科学技術政策を担当しているグーグルの前CEO、さらに世界一の軍需企業ロッキード・マーティンの元CEOが評価しています。
その他、現在はアメリカ工学アカデミー会長で元アメリカ陸軍次官や、アメリカ海軍長官、そしてハーバード大学工学・応用科学部の前学部長も含まれているようです。つまり、ITと軍事の最前線にいた人物たちがもはや「アメリカは世界一の軍事力を持っていない」と言っているわけです。
1999年の段階では、アメリカは動物や植物のクローン技術や小型コンピューター端末などが製品化し、第3次産業革命として期待されていました。要するに、アメリカが21世紀の最先端技術を世界でリードすると見られていたということです。
当時、アメリカの様々な分野の専門家たちは、中国の存在について全く気にしていなかったと思います。まさか、たった20年で中国がアメリカよりも優れた最先端技術を持ち、科学大国になるとは思っていませんでした。
一人当たりのGDPがフィリピンと同程度の中国には、技術開発を進めるための資金や資源がなかったと言われています。しかし、このような認識は10年後の2010年頃から変わってきたと思われます。
台湾も日本も被害に─半導体をめぐる熾烈なスパイ合戦の影にいる国は?
(出典:2021年12月24日 Yahooニュース)
実際に、2010年頃は日本企業を含む世界中のグローバル企業が中国に工場を移転し、中国は多国籍企業の製造拠点として成長し、電化製品や日用品、衣類などで世界的な製造工場になっていました。
世界中の人々は、中国を著作権の違法コピーをするだけの「模倣国家」であると過小評価していた間、社会主義国であるはずの中国は、先進国から帰国した帰国組から最先端技術を学び、自由なイノベーションを起こしていきました。
私も、10年ほど前に北京や上海、瀋陽、大連などの大都市を中心に列車で見て回りましたが、著作権違反の映画やDVDなどが横行していた印象があります。当時、マイクロソフトがWindowsの中国語版を違法コピーした業者を探すことを諦めたことを思い出しました。
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