なぜ、円はロシアのルーブルより弱いのか?誰もズバリ言わない円安の本当の理由。
(出典:2022年4月21日 Yahooニュース)
金融市場の需給で価値(価格)が変わる現在の変動相場制では、世界の基軸通貨である米ドルの地位を支えているのが原油の決済が米ドルでしかできないことです。
この仕組みを一般的には「ペトロダラー」と呼ばれていますが、しかし今年2月のウクライナ侵攻によって50年も続いた仕組みが、中国の人民元やロシアのルーブルでも再現されようとしています。
例えば、ロシアは原油や天然ガスを西側諸国に販売する際、ユーロやドルではなく、ルーブル決済でのみ販売することを発表しています。ロシアに対して経済制裁を仕掛けた、欧米諸国や日本、韓国など約50ヵ国が該当しています。
ロシアのプーチン大統領は、世界の人口の半数がロシアに対して非友好的であり、逆に経済制裁に賛成しなかった中国やインド、トルコ、イラン、そしてアフリカ諸国などは自国通貨でも天然ガスを購入することができるわけです。
OPEC減産、米国で勢い増す報復論 解体も視野に
(出典:2022年10月7日 Yahooニュース)
このように米ドルが弱体化している動きの一つに、10月4日のOPEC+会合で原油1日当たり200バレルの大幅減産の発表と、それに対するアメリカの強い反発がありました。サウジアラビアは、すでに人民元やルーブルを決済通貨として使い始めています。
アメリカのバイデン政権の強い反発でサウジアラビアとの関係が見直される可能性が高く、サウジにアメリカ製兵器が供給されなくなれば、両国の同盟関係が解消される可能性も出てきました。
今後、サウジの米ドル離れはさらに加速し、決済通貨としては人民元やルーブルが一般的に使われることになるかもしれません。いよいよ、世界の基軸通貨である米ドル体制が終わろうとしているわけです。
中銀の金購入量、第3四半期は過去最多を記録
(出典:2022年11月1日 Reuters)
一方、金(ゴールド)の国際調査機関が公表した最新の報告によると、世界各国の中央銀行が現物の金地金を大量に購入していると報道されています。それに対して、金価格連動型の上場投資信託(ETF)=ペーパーゴールド(紙くず証券)の金保有量は確実に減少しています。
米国債の金利が4%近くまで上昇してリスクが高まったため、多くの投資家はETF証券を売却しています。つまり、米ドルや米国債、米国株のような金融商品ではなく、現物の金の価値が再確認されたということです。
財務省:インドネシア中央銀行と現地通貨の利用促進に係る協力覚書(Memorandum of Cooperation)を締結しました
(出典:2019年12月5日 財務省)
他方、インドネシアでも国際貿易で米ドルの使用に反対しており、決済を現地通貨に切り替えることで米ドルへの依存を減らすよう呼びかけるようになりました。実際に、インドネシアの国際貿易のほとんどは米ドルで決済されています。
インドネシアは、全体の貿易額でアメリカには10%の輸出と5%の輸入しかしていませんが、決済の約90%が米ドルです。自国通貨ルピアではなく、米ドルで決済する場合、為替の手数料が2倍近くになり、長年それがネックになってきました。
だからこそ、世界各国の中央銀行は「二国間決済システム」の実現について議論してきたわけです。インドネシア中央銀行は、中国、タイ、マレーシア、そして日本が二国間決済に合意したと発表しています。
プーチン氏、インドネシア大統領と電話 G20参加触れず
(出典:2022年11月3日 日本経済新聞)
今後、シンガポールやフィリピンとも合意する予定であり、世界一の産油国であるサウジとの合意も検討されているとのことです。インドネシアは今年のG20議長国であり、来週にもバリ島で国際フォーラムを開催する予定です。
議長国である立場から、今回はEU諸国などにも米ドルを使用しない二国間決済の拡大が提案されるかもしれません。このように、基軸通貨である米ドルが信任を失う動きは世界的に広がりつつあります。
私(50歳)が生まれる前にはすでに始まっていた基軸通貨の米ドル通貨体制は、いよいよ終盤に差し掛かっているように思います。もし本当に国際貿易や原油の決済に、米ドルが使われなくなると日本もアメリカ支配から解放されるようになるということです。
近い将来、まず米国債のようなドル建て債権が売られるようになり、金利が暴騰して金融危機が始まり、株価が大暴落する中で米ドルは急激に価値を失うことになる可能性は十分にあります。
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