アフガンは明日の台湾? 中国で米台関係を揺さぶる論調
(出典:2021年8月19日 朝日新聞)
菅首相が辞任したことで、アフガニスタン情勢に伴う世界や日本の激変についてはこちらのサイトでコラム化することにしました。
新型コロナウイルスの感染拡大が収束しない中、米軍のアフガン撤退で大きな混乱が起こっています。これは既存の国際秩序を大きく転換する引き金になる可能性があります。もしかしたら、グレート・リセット(クラッシュ)の始まりかもしれません。日本も大きな影響を受けるはずです。
混迷を極めるアフガン情勢の中、もしかしたらこれからアメリカのデイープステート(DS)は中国やロシアの台頭を抑止するために、関係筋はアフガン国内を意図的に混乱させる戦略に出たと指摘しています。
ズビグネフ・ブレジンスキー
(出典:Wikipedia日本版)
もし「ISIS-K」の結成の背後にCIAがいる場合、「世界的戦略者・故ズビグニュー・ブレジンスキー」が1979年に実施した計画と同じように、アフガン国内をテロの温床にして、今度は中国をアフガンの混乱に引き込むことが狙いなのではないでしょうか?
あるいは、米軍がアフガンから撤退した後、DSは中国に任せる約束をしたことも考えられます。その中国は、面倒事を引き受ける代わりに台湾を侵攻することを許されたとも解釈できます。なぜかと言えば、タリバンがアフガニスタンの首都カブールを制圧してから2日後の8月17日、中国は台湾周辺で実戦的な軍事演習を行ったと発表したからです。
2014年、ソチ五輪閉幕後すぐにロシアとウクライナの間でクリミア戦争が勃発し、中国は南シナ海への進攻を強化したという関連性が見られましたが、アフガン情勢も同じようなことが再現される場合、尖閣諸島、沖縄は台湾有事に巻き込まれることになるということです。
1979年、ソ連軍はアフガニスタンに侵攻した時、アメリカは「ムジャヒディン(イスラム原理主義の戦士)」を資金的、軍事的に支援し、アフガン紛争を泥沼化させています。そして、ソ連はこの戦争で国力を消耗し、1991年にはソビエト連邦そのものが崩壊しました。
だから、アメリカは「ISIS-K」を利用してタリバン政権を不安定化させ、アフガンをテロの温床とすることで中国国内にテロを引き起こし、国力を消耗させるという戦略であると考えるのが普通です。
オリバー・ストーン監督最新作/映画『スノーデン』予告編
(出典:2016年11月4日 Youtube@moviecollectionjp)
監視技術、米が日本に供与スノーデン元職員が単独会見
(出典:2017年6月1日 Youtube@KyodoNews)
実際に、アメリカ安全保障局(NSA)は、アフガン国内のほぼ全ての携帯電話の会話やメールを盗聴し、「SOMALGET」というNSAのサーバーに保存しているようです。つまり、国中の携帯電話の通話内容をいつでも聞くことができるというわけです。
もし、アフガニスタン国内で携帯電話やインターネットを一度でも使うと、「SOMALGET」に保存され、タリバンやISの動きもCIAやNSAに筒抜けになっている可能性があります。
もしこれが本当だとすると、残念ながらアフガニスタンではこれからテロが激増し、もっと混乱するのは間違いありません。実は、アメリカ国務省や国防総省(ペンタゴン)の政策立案者は、ブレジンスキーの著書「ザ・グランド・チェスボード」の戦略を研究しています。
The Grand Chessboard: American Primacy And Its Geostrategic Imperatives ハードカバー 1997/10/9
(出典:Amazon.co.jp)
この本は、「アメリカによる世界戦略のバイブル」と呼ばれており、アメリカの大学で国際関係学(IR)を専攻した人間であれば一度は読んだことがあるはずです。本が出版された当時、私はアメリカの大学院生でありましたが、自分で購入して読みました。
アメリカの国益を優先したブレジンスキーの世界戦略は4つの柱があり、まず中国とロシア、イランが台頭することを阻止することです。2つ目はドイツとロシアが同盟関係を結ぶことを阻止することです。
3つ目に、中国と韓国、そして日本による「東アジア共同体」の阻止があります。最後に、中東で反米的な独裁国家が出ないように中東諸国を分断する計画が発案されていました。要するに、今回のアフガンの混乱は2つの柱を目的にしていると思われます。
今後、アフガンが混乱することで中国やロシアでテロ事件が連続的に発生し、膨大な数の難民の一部はヨーロッパに向かうことになります。当然、受け入れ先はEUのリーダー国であるドイツであるわけです。
そのドイツは、アメリカの反対を押し切ってドイツとロシアを結ぶバルト海の海底パイプライン「ノードストリーム」を建設しています。ドイツとロシアの同盟関係締結を望まないアメリカにとって、実はアフガン難民がドイツに向かうことは好都合です。
実際に、バイデン政権は中国とロシアの台頭を阻止するために、アフガン国内を意図的に混乱させる戦略を展開しており、台湾有事によって地理的に近い日本も巻き込まれる可能性が出てきました。
自衛隊四国沖等で空母「クイーン・エリザベス」らと5か国共同訓練今回はカナダも
(出典:2021年8月19日 Yahooニュース)
世界経済フォーラム(ダボス会議)による「グレート・リセット」は、会議そのものが中止に追い込まれたことで、世界支配層だけが生き残るというシナリオは不可能となったように思います。それよりも、人類全体がグレート・クラッシュする可能性のほうが高まりつつあります。
今回、アフガンでの混乱はいよいよ人類が新しい時代に入ったことを意味しており、現在の激変する国際情勢を理解するには大胆に予測して準備しておく必要があります。さらに、中東問題が起きると、核実験を再開した北朝鮮が注目されることになります。
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